結婚した翌年、早くもネムは身籠った。
親となる喜びと不安の両面を抱えるリオとネムに対して、ハルは喜び一辺倒だった。
「おめでとうございます、奥様!」
家事一切はもともとハルがしてたが、それに加えてネムのマタニティー用品の準備、妊娠出産への不安を持つネムの話し相手、それとリオの性欲処理も再び受け持つことになった。
リオへの性処理は以前と変わった。
ハルはけっして夫婦のベッドでリオに抱かれることはなかった。
ハルは、リオとネムが夕食を摂る時は後ろに立って給仕を務めるが、その時にネムから
「今夜、旦那様をお慰めしてくれない?」
と言われて、
「仰せ承りました。」
とお答えし、ネムが寝室に入った後、食堂か台所でリオを受け入れた。
ご主人様に抱かれるのではなく、本当に処理だった。
それでもハルは幸せだった。
やがてネムが男の子を生むと、ハルは「坊っちゃん」と呼んで慈しんだ。
男の子が大きくなると、リオとネムはその子にハルのことを「ハル姉さん」と呼ばせた。
ネムと坊やがお出かけの時は、ハルがお供兼護衛として付き添った。
その子が3歳になった時、世間から隠れて暗躍していた旧貴族派のテロリストが再び活動を始めた。
そして執政官夫人と子息、それに警護のチル1名を誘拐して監禁すると言う事件が起こった。
犯人グループは10人。
山間部の昔の貴族の屋敷に立て籠り、刑務所で服役中のテロリストの釈放を求めた。
襲撃された時、ハルは拳銃を発砲し数人を倒したが、ネム、坊っちゃんと共に追い詰められ、ネムから抵抗を止めるように言われた時、テロリストが見ている前で、実弾2発を残した拳銃をネムに渡した。
「万一、奥様と坊っちゃんに危害が加えられそうになったなら、ご覚悟を!」
そう言うと二人に背を向けてテロリスト達に言った。
「私はチルだ!私を好きにしなさい!」
そして、テロリストの見ている前で、着ていた物を全て脱ぎ去った。
その時ハルはもう20歳になる直前だったが、見た目は人間で12.3歳の思春期の少女だった。
華奢で真っ白な肌だが、あちこちに拷問の痕が残っている。
特に右胸の乳首が無いのは目立ったが、ハルは敢えてそれをテロリスト達に見せつけた。
「この通り醜い身体だが、奥様と坊っちゃんに危害を加えないなら、煮るなり焼くなり好きにしなさい。
もちろん殺してもけっこうです。
けして貴方達を恨みません。」
それだけ言うと、自分から床に仰向けに寝て目を閉じた。
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