ネムは資料を読んで、ハルが全身に傷痕があることは知ってた。
しかし、現実にそれを見せられて、その痛ましさに目を背けてしまった。
「ハルちゃん、もう良い。もう、良いから!」
浴槽に腰掛け、顔をハルと反対の方を向けた。
そのネムの肩から首筋にかけて、柔らかな布が当てられた。
左肩を押さえられ、右の肩から首筋を徐々に布越しに揉まれた。
肩を動かしてハルの方に向こうとしたが、ハルが左肩を押さえる力は、あの一見華奢な少女の力とは思えなかった。
いや、力ではなく身体のツボのようなところをハルの指が押さえている。
けして痛いのではない。
無理にはね除けようとしなければ、むしろ心地よい。
ハルの右手に持つ布により、ネムは首筋から耳の後ろ、それから顎と喉の方へと擦られていく。
その心地よさは、世間のマッサージとは全く違うものだった。
押さえていた肩が、左から右となり、左首筋から喉に経かけても擦られた。
身体が..、溶けそう..。
ネムはハルの手から逃れようとする気持ちが次第に薄れていった。
背中を擦られる。
全体を軽く円を描くように擦られた後、ちょっと力を入れて筋肉に沿って擦られた。
性的な快楽とは違うけど..、とっても気持ち良いわ..。
腕もハルから持ち上げられるようにされ、片方づつ洗われた。
脇の下って..、そこは恥ずかしいよ..。
持ち上げて、見ないで...。
女の子同士でふざけながらの入浴なら、こんなに羞恥は感じなかったはずなのに..。
ネムは自分の半分の年齢の少女に羞恥を感じた。
ハルはネムの身体を、擦り、マッサージをしながら無表情のままだ。
ハルの手が、ネムの脇の下を潜って乳房の下に触った。
ネムは蕩けそうな気持ち良さから一瞬、はっ!としたが、ハルはネムの乳房の下から鎖骨の方へと、敏感な部分を避けて洗ってくれた。
良かった!
性的なご奉仕までは、しないでいてくれるんだ。
ネムの心に、少しゆとりが出来た。
「エッチなところは、しなくていいからね。」
こう言ってハルから拒否され、触られちゃったらどうしょう?
しかし、ハルはやはり感情のこもらない口調で「かしこまりました。」と返事をした。
今の言葉を信じるしかないわ。
ネムはもう自分の身体をハルに任せることにした。
腰からお尻、腹部、太股から足先まで、ネムはされるがままになった。
そのうちに、無表情でしてくれてるハルは、「けしてリオからの命令で、義務的にしてるのではない」と感じ始めた。
私のこと、好きなの?
いや、それはまだ思い上がりだろうけど..。
そう言えば、リオがこの子を買ったとき立ち会った通訳がハルのこと、「全く感情なんて無いと思ってました。」って言ってたよね。
これが、この子の基本型なんだ。
それから、全身にあんな傷痕までつけてるのに、ロリコンのリオはハルを大切にしたんだね。
今の可愛いハルちゃんに育てたわけだね。
ネムは元々ハルのことは可愛いく思っていた。それが今は、なんだか切ないくらい可愛くて仕方なく思えてきた。
ハルはネムの太股の内側まで洗ってくれた。
約束どおり、ヘアのエリアには手を触れなかった。
ネムもハルが洗いやすいようにと、自分の意志で足を拡げてあげた。
「終わりました。お疲れ様でした。」
浴室の床に正座して頭を下げようとするハルを、ネムは抱き締めずにはいられなかった。
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