気がついた時には、ハルの股間からはあの残酷なバイブ付の皮製パンティは脱がされ、胸の責め具も外されていた。
多分催淫剤の解毒剤も打たれたようだ。
裸で仰向けに寝ているが、背中の感触がとても違和感がある。
うっすらと目を開くと、周囲は清潔な部屋で、自分が寝ているのはシーツが掛けられたベッドだった。
ここは?私どうして?
そう思って起き上がろうとしたが、衰弱した身体が言うことを聞いてくれなかった。
何があったのか思い出そうとして、恐ろしい記憶が甦った。
あれって..、私の見間違いだよね..。
そんなこと..、あるはず無い..。
そんな、ご主人様が...。
気がついたら、一人でベッドから飛び下り、部屋のドアを開けようとノブをガチャガチャと引っ張っていた。
確かめなくちゃ!早く、早く確かめなくちゃ!
ドアは開かない。
「無駄だよ。」
部屋の端から士官の声がした。
ハルはやっと落ち着いて自分の置かれた状況を理解し始めた。
ここはあの士官の個室らしい。
私の身体は、誰かに拭き清められてるし..。
ああ、そうなのか..。
士官の声は続いた。
「私から身体を奪われると思ってるなら、安心しろ。
動物みたいに強引に牝と交尾する趣味はない。」
理性と教養がある人の話し方だった。
「お前にははっきり言っとくが、私は世間で言う性的不能者だ。肉体的にも精神的にも女と交尾するつもりになったことは一回もない。」
ハルは、今はこの人は嘘を言ってない、と直感した。
「その代償行為として下等な者を虐めてたわけだ。
ハル、私に従え。
お前のような心的に美しい者を従わせたいんだ。」
しばらく沈黙が続いた後、再び士官の口が開いた。
「もう前の主人はいないぞ。」
ハルの目から、意志の光が消えていった。
士官はそれがはっきりと分かった。
「どうだ?私に従えばお前の希望は叶えよう。
何か希望があるか?」
しばらくして出たハルの声は虚ろだった。
「死なせて...」
「良かろう。
お前が私に対して充分に仕えたと判断したら、死なせてやっても良い。」
ハルの心は殆ど折れていた。
士官の前に崩れ落ちて、床に踞って泣き出した。
その日はそれでバラックに戻された。
賭けはしてないのに、士官の計らいとしてバラック全員に甘味を含む特別食が配られた。
女達は皆、ハルがあの屈辱と苦痛に満ちた拷問を耐え抜いてくれたからだと、単純に喜んでいる。
皆の喜ぶ声は、これまではハルにとって素晴らしい音楽に聞こえてたのに、今はもう何の感動もなかった。
もう、逃げられないんだな..。
もうこんな身体だし...。
仕えるふりをして、死なせてもらおうかな..。
ご主人様、いないし..。
ハルの思考力も幼子なみになっていた。
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