外で人の動く音が賑やかくなったころ、まだ寝てる首領に遠慮しながら女が二人入って来た。春はまだ寝てるのを激しく怒られるだろうと思っていたが、そうではなかった。
昨夜首領は、春を自分の女にすると皆に宣言して春を犯した。
春はもう、部落の長老が首領に差し出しそうとした女とは立場が違うのだ。
春は12歳で、首領の妾の一人にされていたのだった。
部落の皆の春に対する扱いは全く変わった。
人並みに着せてもらい、栄養のある食事も与えられ、弱った身体を回復させられた。
やっと動けるようになると、先に本拠地に帰った首領を追うように、手下二人から馬に乗せられて旅に出された。
春は道中二人の手下から襲われるだろうと覚悟していたが、手下は首領を恐れて春を丁寧に扱ってくれた。
しかし、次の苦痛は首領が住む本拠地の街に着いてからだった。
首領は本妻の他に妾が10人いた。
本妻は太々と呼ばれるもうすぐ40になる女だった。
今はやや肥りぎみではあるが、若い時は首領と一緒にこの地方を荒らし回った女丈夫なだけに、まだ妖艶な美貌と冷酷な頭で首領の留守を預かり、多くの妾をしっかり従わせていた。
かつて首領の寵愛を過信して、太々に逆らった若い妾がいた。
しかし太々は首領の目の前で、その女を20人以上の男達に犯させたうえ、泣きながら謝っている女の血を流している前後の穴に、冷酷にも焼けた鉄棒を突っ込んで殺した。
その太々が春の事を聞き、大変腹を立てているらしい。
夫が旅先で、一夜の慰みものにした女なら問題ない。
しかし皆の前で、連れて帰って妾にする、と言った上で抱いたそうではないか!
妾になるのなら、ちゃんと筋を通して、本妻の私の前で頭を床に擦り付けて挨拶をし、私が妾となるのを許してから、初めて主人に抱かれるべきだ。
それを、私の知らないうちに妾になって抱かれているとは!
春は街に着くと直ぐ、太々の手の者から太々の部屋へ連れていかれた。
太々は問答無用で生きたまま皮を剥いでやろうと思っていたが、今目の前の床に這いつくばっている小娘は、痩せ細って肌は青白く色艶も悪かった。
日本人のサーカスの一団から、捨てられるように差し出されたと言う。
これなら間違っても私に逆らうことはあるまい。
しかし、私の知らないうちに主人から抱かれたことについては、何か罰を与えねば他の妾どもに示しがつかない。
そう思った太々は寛大にも、まだ発毛前の春の下腹部に「淫乱」、左右の乳首を囲むように桜の花を刺青するだけで赦してやることとした。
哀れな春は、故郷から遥か離れた寒い異国の地で、焼き印と刺青と言う生まれもつかない印を刻み付けられてしまった。
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