「義父さん、進さんの月命日です、買い物もありますのでお寺に寄ってきます」
「そうか、行ってこい 俺は山に入るから遅くなるが心配するな」
重蔵は朝食を済ませると猟犬を従えて山に入って行った。
晴菜は重蔵が洗濯に出した作務衣や褌を抱えて洗濯の支度にかかったが褌の汚れが目に入った。
明らかにそのシミや匂いは体液であった。
あの歳になっても重蔵は男である事を認識をした時であった。
たしかに重蔵の視線に危ういものを感じる出来事がある、台所や畑でふと振り向くと時々視線が注がれている。
目を合わせると必ず重蔵は目を反らせた・・・
洗濯を終え干し竿に掛けると身支度を整え寺に向かった。
唐礼寺はバスに乗って3つ目の停留所から歩いて15分かかる、階段を上り石仏の並んだ西に本堂と庫裡がある。
「ごめん下さい」
晴菜は声を掛けた。
すると50歳ほどの住職西堂が本堂から返事を返してきた。
「ああ進さんの奥さんだったのう」
「はい、今日は夫の月命日で寄らせていただきました」
「そうですか、それはそれは・・さあ上がりなされ」
「お庫裡さまはお変わりございませんか?」
「今、お庫裡は入院して居るわしひとりじゃ」
「それは知りませんで申し訳ございません」
晴菜は恐縮していた。
「じゃあお経をあげますか」
それから20分ほどの経を読むと晴菜の前にどっかり座った。
「どうですか、仮住まいの生活は」
「おかげさまで慣れました、買い物に少し不便ですが」
「そうですか、ところで耳に挟んだ事ですが最近、以前あの家に住んでいた男が出所したと聞きました」
「ええ・・」
「あの家は破産していますが、男は性犯罪を起こした挙句女性を殺めて7年の服役をしていました、十分気負つけてください」
住職は真顔で晴菜に伝えた。
たとえ半年の仮住まいであってもその男が住んでいた家と知るとあまりいい気分では無かった。
中略
その男は中野 勝 28歳 服役を終えてこの村に入っていた。
男はかって住んでいた家のある軒先に晴菜の姿を見た。
「何だもう他人が入り込んでるじゃねえか」
家が破産したことは知っていたがあの古い屋敷で犯罪者の住んでいた家に人など済むはずがないと思っていた。
「なかなかええオナゴじゃねえか」
立ち止まって晴菜を見つめていた。
「そうだな、今夜はあのオナゴの裸でも拝ませてもらうか」
中野はニンマリしながらポケットからパンを取り出して口に咥えた。
その晩から雨が激しく降りだしていた。
時折雷の閃光が走りバリバリと雷鳴が響いていた。
「ちえ、うっとうしい雨だな」
中野はすでに納屋の軒下で雨をしのいでいた。
あの節穴の存在は中野はすでに知っていた、まだ15にもならないうちから近所の同級生の母親たちのもらい風呂を覗いていたのである。
もう二時間待った、すると人の気配を感じて中野はあわてて納屋の奥に潜んだ。
「この納屋に誰かが来るな」
慌てて積んであった藁の陰に潜って様子を伺った。
それは重蔵の影であった。
間もなく下駄の音がすると影はあののぞき穴に立っていた。
数分であるが覗き見すると納屋から出て行った。
「へえ~・・・何者だあの男」
中野は藁から這い出ると板塀に立った。
雨の音は少し落ち着き風呂場の様子を伺う湯を流す音も耳に入った。
暫く節穴から覗いていると裸体から湯気を立てながら脱衣場に晴菜が姿を現した。
「へえ・・・いい体してるじゃねえか」
中野は久々にに見る熟れた裸体に鋭い視線を送っていた。
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