裕也さんは卵の黄身を白米に乗せて、箸でかき混ぜた後に醤油をかけた。それをさらにかき混ぜた後はベーコンとサバの味噌煮を交互に頬張る。見ているこちらとしても美味しく見える。
そんな裕也さんを僕はまじまじと観察した。髪は黒髪で僕と同じ額を覆うショートカットだが、長さは僕よりも短い。
それでいて170cm以上の高身長。かほさんから聞いた話では、裕也さんの両親は共にスポーツをやっていて、裕也さんの父親はかつてプロの選手だったとか。さらに裕也さんの母親のほうは剣道や弓道の達人でもあったそうな。
また裕也さんの両親こと野島家は西嶋家の分家であると同時にかほさんの両親とも親交があった。とくに裕也さんの父親とかほさんの父親は血を超えた友人同士で、裕也さんの母親とかほさんの母親は姉妹のような間柄だったそうだ。
まさに裕也さんは人間の品種改良の末に生まれた最高傑作と言えた。僕は苦手だが、大抵の人から見れば裕也さんは男も女も惹きつける魅力も持っていた。
僕はふとずっと疑問に思っていた事を2人に質問した。
「かほさん、裕也さん。本家と分家って言いますけど二人の馴れ始めっていつだったんですか?」
「ん? げふ!ごほごほ!いきなりだな。太郎くん」 裕也さんはよく噛んだ白米を喉に通そうとして咽せた。
「すみません。本家と分家にある関係を2人がいつ知ったのか疑問に思ったので」
「それを聞いちゃうかあ。いつか言おうと思っていたけど、今から教えるわ。」
かほさんが照れながらも真剣な表情になって話す。
「最初からよ。私が教師、裕也くんが教え子になる前、太郎くん達とも知り合うずっと前から」
再び僕は衝撃を受けた。
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