空想・幻想小説

『母親交換ソフト』

その名の通り、自分の母親と他人の母親とを24時間だけ交換をしてしまうというソフト。
年齢は問わないが、母親とは『子供を産んでいる』ということを意味している。好きなアイドルなんかは無理となる。
日が変わる午前０時までに入力が出来れば、起きた朝の6時から翌朝の6時までの24時間、その母親が自分の母親となるのだ。
ただ交換中の操作は出来ず、再入力までには丸一日かかるため、気に入った母親がいたとしても2日続けての交換は出来ない仕様となっている。

このソフトを手に入れたのは三年前。最初に交換をしたのは、友人の母親とだった。本当は有名女優やポルノ女優を選びたいが、とにかく住所が分からない。
手っ取り早くこのソフトを使うためには、どうしても馴染みのお母さん達となる。
友人の母親が自分の母親となったのだが、特に楽しいことは起きなかった。その日、母が変わっただけ。彼女が出来たわけでもないのです。
彼女達は僕を子供として扱い、母親として振る舞うだけ。それには思った楽しさは得られず、いつの間にかソフトも起動をすることはなくなりました。
ただ、『もしも子供と近親相姦をしている母親がいるならば…、』、それは違った展開にもなるのでしょうが、そんな人を僕は見たこともありませんでした。

キーボードを前に、僕の手には坂井さんの書いてくれたあの書類のコピーが握られていた。汚ない字だが、住所と電話番号はちゃんと読める。
そして、緊急連絡先には『母 静江』と書かれているのです。
入力は進み、最終の確認の画面まで来ました。つまり、この人物は存在をすると言うことを意味しています。
ボタンを押すと、『受付を完了しました。』と言う文字が現れます。明日の朝、近親相姦をしている静江と言う女性が僕の母親となって現れるのです。

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