部屋に入ると
「座ってて、私が用意するから。」とお姉さんが言ったのでお言葉に甘える事にした。そして用意してくれるお姉さんを眺めながら待った。旅館の古風な卓袱台の上に小さな宴が用意された。お姉さんが右隣に座って白くてすべすべな手でお酌してくれる。僕も「どうぞ。」とビールを注いだ。
「お財布拾ってくれてありがとう。乾杯。」
「乾杯」カチンとグラスを合わせて、ビールをクイッと飲んだ。お姉さんは、品良く左手でグラスの底を持ち右手でグラスを持ち顎を少し上げながら、美味しそうにコクコクとグラスを傾けた。
喉が小さくコクコクと動く。横目で見ながら(可愛い。)と思わず思う。
「喉乾いてたんですか?」
「風呂上がりから、何も呑んでなかったの 。そういえば、名前聞いて無かったわね。?」
「嶋 祐一です。」
「私、宮野 涼子。祐一くんて呼んでいい?」
「はい。」
「祐一くんって大学生?」
「月川大学の三年です。」涼子さんが( えっ、)って顔をした。
「私も同じ大学~。」
「えっ、涼子さんも!じゃあD県出身何ですか?」
「そうよ。Y市出身よ。祐一君は?」
「僕は、南市です。」
「それじゃ、隣の市じゃない。車で3、40分くらい。」
「家も近くて、大学の先輩でもあるんですね。」それから大学の事やら、故郷の事で会話が弾んだ。
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