昔、絹織物工場の女工をしていた老婆から話を聞いたことがある。
「あの頃は、朝6時の汽笛で寄宿舎から叩き起こされて、夜12時頃まで働かされたもんだよ。男の検番さんに見張られてずっと働き通しだった。眠気で少しでも手を休めると、鬼検番さんが竹の棒であたしの尻を叩いたもんだ。『女子(おなご)のくせに怠けるな!』とねぇ。」
「飯は小さい茶碗に盛られた麦飯ちょっとと漬物3切れしかなくてさぁ、まだ若い娘がひたすら働いてるのに、腹が減ってしょうがなかったよ。おしっこしたいときも男の検番さんに『おしっこ行かせてください』って大声でお願いしなくちゃならなかった。年頃の娘だったから、そんなことを言うのが恥ずかしくて、その場で漏らしてた娘もいたよ。」
「夜中に仕事が終わって、風呂にも入らなきゃいけないし、掃除や洗濯もしなきゃいけなかったから、本当に寝させてもらえなかったね。でも、風呂と掃除と洗濯くらいならまだいいんだけどさぁ、よく検番さんに犯されることもあったよ。あたしも風呂上がりに検番さんに犯されてさぁ、小娘で観音様(マンコ)が痛くてたまらなかったけど、今から思うとああやって嫁にもらえるようになったんだよね。あたしの死んだ旦那も若い検番さんだったから…」
「嫁に行ってからは、やっぱり機織りさせられてたよ。一度抱かれた旦那のために必死に働いてたよ。仕事も掃除も洗濯も、休ませられなかったけど、そりゃ何ともなかったね。姑のいじめが一番辛かったかなぁ。だってさ、旦那だけじゃなくて、舅にも抱かれてたから。旦那や舅に抱かれ過ぎて、ますます寝かせてもらえなかったよ。アハハハハ…」
「近所の若い嫁たちが集まるとさぁ、『うちの旦那にどれだけ贅沢させてるか』をお互いに自慢し合ったもんだよ。『うちの旦那は毎日いいおべべ着て、ダンスホールで若い娘と遊んでた』だの、『うちの旦那は、家で毎日寿司とかうなぎとか出前を取りながら、あたしの稼ぎでいいもん食ってた』だの。旦那が贅沢できるってことは、嫁のあたしが働き者だって自慢し合ってるわけなんだよね。」
昔の女子はこれが普通であった。
それに比べて、今の女子達は全く怠け者である。
今の女子も、このかつての女工のように、休まず食わず眠らず働き続けるおおらかさを持たなければならない。
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