教室に入ると6人の男子に囲まれた暖人が「おー、松本!」と声をかけてくる。一緒に教室に入った女の子やそばに他の女の子ががいるのに咲良にだけ。「奥さまが来ました」小学生の女の子として、恥ずかしくなる。「そうならいいな、松本なら。」小学生の女の子として、嬉しくなる。暖人は小学生にしては、大人だ。周りの3人の女の子たちが「あ~あ、なに、あれ」とひそひそ話する。
小川暖人はサッカーが上手く、私立中学を目指している位で勉強もよくできる。その上、男子のリーダーでみんなに気が使える。4組まである6年生のクラスのうち、いじめらしきものがなく、当たり前にいる不登校がいないのも、暖人の空気が及んでいるから、かもしれないと思う。
算数の授業。咲良も私立中学を目指しているから学校の内容は簡単すぎる。発問をして答えを求めるが、みんなが答えられないと暖人か咲良に当てる。
6年3組の担任は25才独身の男性教師、伊藤拓海。「一段目2のカードが2枚、二段目3のカードが3枚、三段目4のカードが3枚、四段目5のカードが4枚、、、」十段目のカードの数字、枚数、これはある程度みんなできる。十段目までのカードの枚数の合計、カードの数字の総和、、、
中学受験なら、基礎問題。でも、ほとんどの小学生は分からない、というより考えない。
「山田さん、わかるかな?」「えー、わかんない」「和田さんはどう?」「、、、」黙って首を振る。
「ん~、じゃあ、咲良」
咲良にだけ名前の呼びすて。
伊藤拓海が、咲良の純潔を狙う5人目の男。
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