その女の名は『マキ』と言いました。近づいて分かったのですが、身体中がキズだらけなのです。その痕はまさにツメ、ケモノ達に切られたものでした。
『僕、殺されるの?』と聞き返します。『用がすんだらねぇ。』と言われ、その真意を聞こうとします。
その時でした。『マキ、出ろっ!』と男の声がし、彼女がゆっくりと立ち上がります。
『見ないで…。』
そう言葉を残すと、彼女は部屋を出て行くのです。部屋と言っても、牢獄のようなもの。村を歩くケモノ達が、オリの中の僕を見ては通り過ぎていきます。
その視界にマキさんが現れました。手にお椀のような物を持ち、歩いている周りを四足歩行の男たちが囲んでいます。
マキさんは足を停めました。それはまさに牢屋にいる僕の目の前。男たちにより、そこで足を停めさせられたのです。
彼女は地べたに座り込むと、持っていたお椀に手を入れます。中身は分かりませんが、なにかの液体のようです。
その液体を手に取ると、彼女は自分の身体へと塗り始めます。特に下半身へは念入りに塗り込まれ、最後はお椀ごと股間へと流しました。
『見ないでぇ~!』
マキさんは僕の顔を見ながら、力強い声で伝えて来ます。そして、地面に両手をつき、身構えるのです。
『私、こいつらに犯されるから、見んとってっ!』
彼女の最後の言葉でした。『まさかぁ~!?犬が??』、そう思った瞬間でした。一匹のオスが彼女に近づき、液体の塗られた股間を匂い始めます。
すぐに彼女に飛び掛かると、そのオスの股間は人間の男性器のように勃起をしているのです。
まさに犬の交尾でした。違うのは、その犬が人間の男性のように見えたこと。両手でマキさんの身体を抱え、腰を振っています。
その抱えている手を見ると、その指は長く、まるで人の指の長さをしていました。本当にケモノなのでしょうか?人間なのでしょうか?
マキさんは声も出さずにジッと耐えていました。オスの腰の振りが激しくなり、『キャイン~っ!』と鳴いたのが最後でした。
射精を済ませたオスは彼女から離れ、すぐに次のオスが彼女に手を掛けていきます。『犬の交尾。』、そんなものではありません。
そこで行われていたのは、まさしく『レイプ』だったのです。
結局、6匹のオス達が彼女の身体で果てて行きました。時間にして、15分程度でしょうか。行為を終わらせた彼女は、僕の視界から消えていきました。
ただの月旅行へと向かった僕。しかし、そのどこかで歪んだ時空へと迷いこんだのかも知れません。それは、何千年も時を跳ねてしまったのです。
人間は滅び、ケモノが支配を始めました。生き残った人間は家畜となり、その家畜を襲ったケモノがいたのです。
そして、DNAレベルで誕生したのが、目の前にいる彼等ということになります。更に進化をした彼等の身体は、ますます人間へと近づきました。
そして始まったのが、この『人間狩り』なのです。彼等にとってみれば、ただの娯楽。子孫を増やすという本来の行為ではないのです。
そのためには、人間の女が必要。生殖能力がある若い男女だけは僅かに残され、用のない人間たちは抹殺されました。
僕がここに連れて来られた理由。それは、人間の子供を作るためだけに連れて来られたのです。
もしも、僕に生殖能力がなければすぐに殺されるでしょうし、産まれた子供たちに能力があれば、僕も用済みになります。
マキさんの言っていた、『死ぬよ?』とはそういう意味だったのです。
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