彼女を落ち着かせるために、一階のロビーに降りた。僕は、喫茶のカウンターにオレンジジュースを見つけ、コップに注ぐ。
『飲んでください。』と彼女に差し出した。一口だけ口をつけたが、それ以後は飲まなかった。
『何かあったんですか?』と訪ねてみた。何も答えない彼女だったが、何か辛い事でもあったのだろうと、それ以上は聞かない。
『僕は、もっと仲間を集めて、コロニーを脱出しようと思います。どうしますか?』、やはり口を閉ざしたままだった。
数分、問い掛けたが反応がない。この女性には、悪いが無理そうだと思い、『じゃあ、別に行動しましょう。声掛けてすいません。』と立ち去ろうとした。
『父が…。』と、初めて彼女が口を開いた。『父が殺されたの…。母は…、母も殺されました!強姦されてっ!!』と再び泣き崩れた。
彼女の話はこうだった。逃げ遅れた彼女を含めた5人は、何とか助かる手段を探しながら、行動を共にしていた。
しかし、現実が分かると段々と追い詰められていった。そして、その中の一人の男性が無法を起こしてしまう。
彼女の父を射殺し、母親に手を掛けてしまったのだ。気づいた彼女は、もう一人の男性に助けを求めた。駆けつけると、母親の上で腰を振り続けていた強姦魔。
『おい、こっちに寄るなよ。』と言い、『俺たちはどうせ助からん。お前も、その女でも犯れよ!犯ればいいんだよ!』と囁いたのだ。
それは、悪魔の囁きとなってしまった。もう一人の男性は、悪魔に魂を売った。彼女に襲い掛かったのだ。
なんとか逃げ出した彼女だったが、戻った時には、両親は絶命していたのだ。
彼女の名前はナオミ。僕よりも4つ年上の21歳。大学では、ロボット工学を専行していた。ちなみに、この物語のヒロインである。
そして、僕がここまで運んで来た、軍の新型ロボットの正パイロットになる女性である。
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