突き付けられた銃口を見て、反射的に両手を上げてしまう。『民間人か?』と聞かれ、『はいっ!』と答えた。安心したように、彼女も銃を下げた。
彼女は、ここで何か作業をしていたようだ。センサーが僕をキャッチし、慌てて作業を中断したようだったった。
『出ていってもらいたい。』と言われ、格納庫を出た。しかし、どこへも行く宛がない。唯一、残ったと思われる彼女から離れるわけには行かなかった。
2時間が過ぎて、格納庫の扉が開いた。僕を見た彼女は、再び構えた銃を仕舞う。『まだいたのか?』と口調のキツい女性だ。
『何してたんです?』と聞くが、『お前には関係がない。』とそれだけだった。彼女は、そのまま研究施設に向かった。後を追うしかない。
僕の顔を見た彼女は、こんな状況でもカードを使って、ジュースを買っている。2本買った1本は、僕に手渡された。
『逃げ遅れたのか?死ぬぞ?』と聞かれ、『あなたは、どうやって脱出を?』とご一緒させてとばかりに聞いた。
しかし、『私は残った。もう助からん。』と言う。それを聞き、彼女には悪いがガックリとうなだれてしまった。
その時だった!初めて彼女以外の声を聞いたのだ。絶望を仕掛けていた僕に、光が射し込まれた。本当に、そう思った。
気配のする方に走る。人影を見た時、助かったとさえ思った。男性3人が、そこに立っていた。『お前も居残り組かぁ~。他に誰かいるのか?』。
ぶっきらぼうに話す男たちに、すぐに違和感を感じてしまう。『いいえ、一人です。』とやり過ごそうとする。
『おおー!いるやないかぁーー!』と彼女を見つけた男たちは、追い掛けて施設に入っていく。リーダー格の男に、僕は銃を突き付けられた。
『行けっ!』と言われ、その場を逃げ出した。あの女性がどうなるのかなど、明らかだった。それでも怖くて逃げた。
戦場に戻り、銃を3丁を手に入れた僕は施設にバイクを走らせた。銃を構え、歩を進める。研究施設に人の姿はなかった。
通り抜け、格納庫の扉についた。銃を構え、ボタンに手を掛けた。『ウィーン!』と扉が開いた。照明は点いたままになっている。
一歩入って愕然とする。3つの死体がそこにあったのだ。残念だが、その一つはあの女性だった。全裸にされて、レイプされたのが分かる。
身体は擦れて傷だらけ、股間から男の液体も流れていた。開いた目の横に涙が流れた後がある。気の強そうな彼女が、涙を流しながらレイプをされたのだ。
二人の男が死んでいるということは、犯人はリーダー格の男か?しかし、こんな時代だ。追い掛けるヤツもいない…。アイツの勝ちだ。
血なまぐささをガマンして、彼女がここで何をやっていたのかを調べる。もう、目の前にある輸送用トラックの荷台しかありえなかった。
荷台のモノには、何枚もシートが掛けられていた。順番に取っていく。2枚目を取った時に、もうそれが何か分かった。
そいつと目が合ったからだ。
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