この場所が美沙の寝床となったのは、4日前のこと。そこはビルの屋上。もちろん、入口にはバリケードが施されている。
もちろん、もしものために逃げ道も用意をされていた。たった一本のロープではあるが下の階のベランダへと降りることが出来る。
ノロマな上、低脳なゾンビ達では、このロープをつたって降りることなど出来ないであろう。このロープこそが彼女の生命線でもあった。
屋上へと続く階段。彼女は、そこを上がってくる妙な足音を聞いていた。それは人間のものではなく、獣のような足音。
それも集団で上がって来ているのだ。『犬?』、聞きなれた足音に彼女はそう判断をする。そしてその犬の気配は近づき、扉の外にまでやって来る。
たかが犬でも、彼女は警戒をした。数日間ではあるが、ここは彼女のテリトリー。動物とは言え、踏み入れられたくはない場所となっていたのだ。
扉についている小さなガラス窓。そこに動物の姿を見つけた。『犬。』、美沙の頭はそう判断をする。
しかし、その犬がただ事でないことも察知してしまう。
ガラスの窓に何度も突撃をしてくる犬。その数は一匹ではない。何より、突撃をする度に、大きなジャンプをしなくてはならないはず。
彼らは、このガラスを破るつもりなのた。
異変に気づいた美沙は手に拳銃を持ち、その扉へと銃口を向ける。何が起こるかは分からないが、身を守ることを脳が判断をしたのです。
ガラスにヒビが入った。次の突撃で、そのガラスが割れる。そこに見えたのは、紛れもなく犬。しかし、普通の犬ではない。
目は潰れ、顔も耳も剥ぎ取られている。生きているのが不思議なほどだ。
美沙は拳銃を構えていた。弾倉には弾は二発。しかし、彼女を囲った犬の数は、3匹だった。
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