出版会社といっても自宅を兼ねたオフィスに相棒の鈴木と組んだ名ばかりの出版社である。
あるルートから流れ出たリストに広告を送りつけビデオや写真、雑誌を購入させている。
「おい鈴木、二日ばかり取材に行って来る留守を頼む」
早川は手早く返信の手紙を書くと速達で送った。
翌15日、車に宿泊と取材の機材を持ち込んで群馬の目的地hへ車を走らせた。
桐生から1時間ほど入った田舎である。
道にはほとんど人影はなく、橋の欄干に数匹の猿がいる程度の閑散とした所である。
目的の場所辺りは山と谷がくねり、家が数件ある程度である。
「確かこの橋から細い道を登るんだったな」
早川は道の脇の広場に車を止めるとリックを背負って登った。
少し登った所で一軒の平屋を見つけた。
「ここだな」
早川はようやくたどり着いた家の前に立った。
「ごめんください」
「は~い」
張りのある女の声が返ってきた。
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