ドーラに手を引かれて、やって来ました、夜の空。
せ~の。
「怖い怖い怖い怖い怖い怖いッ!!
高い高い高い高い高い高いよ~ッ!!」
まさか、いきなり高度8,000mとは。
こんな高さなのに全然寒くないし、呼吸だってちゃんと出来る。
なのに、頭の上ではちゃちなプロペラがプルプル回ってるだけ。
未来すげぇ。超すげぇ。
「こ、こんな高さを飛ぶ必要ないんじゃないっ!?」
通信機も内蔵しているらしく、離れた所を飛んでいるドーラと会話もできるとは。
「馴れないうちは低空飛行の方が危ないんですよ。
この高さなら飛行機くらいしか有りませんから、コントロールを覚えるのにうってつけですよ♪」
「大体、隣町の繁華街まで行くのに大袈裟すぎるだろ……」
「にゃはっ♪」
誤魔化すなっ!!
一時間ほど練習してから、僕らは繁華街のビルの屋上に降り立つ。
着陸は不安だったが、先に降りたドーラの胸に飛び込むようにしてなんとか事なきを得た。
「さぁて、何を使いましょうか……♪」
ドーラの胸の谷間には未来の機械が山ほど詰まっているらしい。
正確には胸の谷間から別の空間に繋がっているとかなんとか。
「何か希望はあります?」
「希望ったって……」
「女の子にこんなことしてみたい、とか、こうされたい、とか……無いんですか?」
無いワケじゃないが、口に出すとコイツはまた笑いそうだし。
「じゃあ、引っ込み思案なあなたに合いそうなのを見繕いますね。」
ポン、ポン、ポン!!
「『時間流停止装置』と『認識阻害外套』、『小型空間歪曲装置』です。」
うん、分からん。
「えっと……説明よろしく。」
「はい。『時間流停止装置』は相手の時間の流れを停める機械です。」
金槌にしか見えないんだが。
「これで頭をポカリと叩くと、相手の動きが止まるんですよ。」
……あれ?
「『認識阻害外套』は被ると動物の意識から外れて、居ないことになります。
ビデオやカメラには写るので注意が必要ですよ。」
……おや?
「『小型空間歪曲装置』は離れた空間の一点と一点を繋ぎます。
相対距離が近くないと使えないので、使用できる範囲が限定されるのがネックですね。」
……ええっと……ドーラさん?
「どれも犯罪チックな匂いがするんだけど……
使えばモテモテの魅力を百倍にする香水とか、そんなんじゃないの?」
「時間への影響を最小限にするために、こっそりすることになってるんですよ。
大体、無い魅力を百倍にしても……
0×100は0じゃないですか。」
……ホント、口が悪いなぁ。
「さぁさぁ、選んでくださいな。
今晩中に一人はモノにしてもらわないと困りますよ?」
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