どう言葉を返して良いのか、返事に詰まる悦子に、男性は更に言葉を重ねて来る。
「私も本音は、早く奥さんと二人きりに成りたいと願ってました…いいですね?奥さん」
男性の言葉に悦子は、無言のまま頷く。
車は大通りを外れ、次第に車は少なく成って行く。
木立ちに紛れ目立たない看板の所を曲がる。
少し入った場所に建物は有った。
車は、その駐車場に滑り込み。
男性に促され悦子は後に従う。
午前中の明るい中、密戯を繰り広げようとする建物に足を踏み入れる事に悦子は言い知れぬ罪悪感と淫靡な感覚に襲われた。
男性は素早く部屋を選ぶと悦子の腕を取り、エレベーターに乗り込む。
悦子は誰かにで合わさないかと羞恥に怯えるように男性の肩口で顔を隠していた。
廊下を歩き、男性が選んだ部屋に入る。
さほど広くも無い部屋にベッドだけが、やたらと大きく、男女の愛欲を満たす部屋を物語っている。
夫と結婚する前に一人の男性と経験は有ったが、結婚して二十年、夫以外の男性との経験は無い悦子は緊張に包まれる。
男性が二人掛けの小さなソファーに座る。
どうして良いのか戸惑いながら立ちつくす悦子を隣に誘って来る。
手にしたバックを肘掛けの脇に置き悦子は男性と並んで腰を降ろした。
そんな悦子を男性が見つめる。
見つめられる事に羞恥を覚える悦子は、思わず顔を伏せる。
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