「ゼツ」の頭の中は、ある女の事ばかりを考えていた。
毎朝同じ通勤電車に乗って来る女。
長い栗色に染められた髪に服の上からでも解る形の良いふくよかな胸。
形の良いふくらはぎ、大きくてムッちりとしたお尻。
プックリとした控えめなルージュの唇。
キリッとした目。
電車待ちの時に175センチの「ゼツ」に自然に並ぶような形になるが
ゼツの顎くらいにオデコが来る感じからするとヒールを差し引いて158ぐらい?
その名前も知らない言葉も交わした事のない女を印象的な唇から「リップ」と名付けていた。
毎朝、毎朝会うが帰りの電車では会った事がない「リップ」の事ばかりがゼツの頭の中を渦巻いている。
ゼツとリップの乗る電車は下り方向で車内の混み具合は登り電車の半分以下で、残念ながら痴漢など出来る状況ではないのが、ゼツの理性を何とか保ってる状態ではある。
ゼツは、帰る時間は早い時で6時30分ぐらい。残業とかで遅くなるときもあるが、寄り道をしない限り9時前後には駅に着くように帰ってきて、
駅から10分ほど歩いて自宅に帰るパターンである。
いつものように7時前に駅に帰って来たゼツは、今朝駅前で本日オープンした、リサイクルショップの宣伝用のポケットティッシュを思いだし、どんな店か覗いてみることにした。
ゼツの家と反対側の駅前で住宅街ではあるが、バス乗り場もタクシー乗り場もなく、
駅前と言うより、さびれた感じで駅裏と言うに相応しい感じの場所である。
その一角に新しくリサイクルショップがオープンしたのである。
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