私が二つ目の穴に向おうとした時である、車のライトが目に留まりそこに立ちつくした。
車は垣根の前で止まるとライトを消してひとりの男がこちらに向って歩いて来るのだ。
私は慌てて木の茂みに身を隠した。
その男は傘をさしバックを持って玄関向おうとして引き返し明かりの灯る風呂場に向かった。
「誰だろう・・・」
その男は迷うことなく二つ目の穴に向かい覗き込む姿勢で背を丸くした。
暫らく覗き込むと玄関に舞い戻って立っていた。
この男 実は娘の嫁ぎ先の義父である。
美源堂という鍼灸院を営み時には出張することもある、昨年妻を亡くし今はヤモメ暮らしである。
その男は秋山修三といい息子の結婚以来 美しくグラマーな玲子にぞっこん惚れこんで度々治療目的と偽り玲子の家に立ち寄っていた。
玲子は未亡人、しかも自分も独り身となれば気兼ねなく寄ることができたのである。
暫らくすると風呂場の戸が開き玲子の湯上りの艶ぽい姿が見えた。
「こんばんわ」
「あら、義父さんこんなに遅くすみません」
「かまいません、気になさらないで下さい」
「今、玄関を開けますので」
どうやら今夜は玲子がこの男を呼んだ様子である。
玄関が開き男は中に入っていった。
玲子がお茶の支度をする様子を居間から眺めた。
薄い浴衣からうかがえるムッチリした尻をいやらしい目で見つめていた。
今夜はあのいやらしい身体にお灸をすることが出来る、よからぬ想像を秋山は持つのだった。
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