それから三ヶ月・・・・
年の瀬が迫ったある日、佃はかっての旧友からの誘いで熱海に2・3日外泊すると直子に言った。
財布から数万の札を出しながら留守を頼むと言い残して旅立った。
久しぶりの外泊である。
「そうだ・・・」直子は篠原にメールを送った
ケンちゃん、忙しい よかったら今夜こない
暫らくすると返信が届いた
忙しいけど10時過ぎなら行けます
うれしい、裏の戸の鍵開けときます
そんなメールを交換する仲になっていた。
この三ヶ月、言葉を時々交わす仲で篠原の素性があまりにも不遇で直子の母性本能をくすぐったのである。
篠原は純朴まじめな青年である 直子を本当の母のように思って慕った。
篠原が裏木戸から離れの直子の部屋に着いたのはもうとっくに11時を回っていた
トントン
「ケンちゃん・・・入って」
篠原は疲れた様子で入って来た。
「年末で大変でしょう、今日留守だから泊まっていったら」
「いいの・・・」
直子は笑顔でうなずいた
「夕飯は・・・」
「済ませた」
「そう、お酒でも飲む」
直子はグラスを二つ取り出して言った
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