第五話 (約14枚)
記憶が戻らないまま、5日が過ぎた。
この間に、魔機の襲撃が2回。それぞれ普美と仁子とのシンクロイザーで出撃して、撃退に成功した。
普美は前より反応が素直になった。それどころか、僕のほうも感じさせようとして、手や舌を使ってくるようになった。「普美さえ感じていればシンクロイザーは動くんだから、そんなことしなくていいんだよ」と伝えたのだけれど、普美は僕にも一緒に気持ちよくなってほしいらしい。
最後の熱線砲では、仁子と同じように挟ませて擦りつけ、約束どおり一緒に絶頂を迎えた。普美はとても満足そうだった。
後ろから抱いてるより、お互いに向き合って抱きしめあったほうが絶頂を感じやすいことも、普美としていて気がついた。
一方で仁子のほうも、なんとなく付き合い方がわかってきた。仁子は負けん気が強い。だから普段は、演技でもいいから僕のほうが負けてるように感じさせてあげれなければ満足しない。
だけどシンクロイザーの中では主導権を渡してはいられない。むしろ、もがいて抵抗されるほど僕のほうも仁子をいじめたくなり、二度目の出撃では前から後ろから、指でペニスで、さらにひっくり返して舌でと、何度も絶頂の声をあげさせてしまった。
もっとも、僕のほうも複数回、仁子の手や口や素股に出さされてしまったのだけど……。
でもシンクロニウム弾はまだ使っていない。仁子との時は危ないところまで行ったものの、なんとか入り口の粘膜にこすりつける「熱線砲」だけで終わらせた。
僕はいったい、何をやっているんだろう?
そもそも、僕くらいの年齢なら普通は学校に行ってるもんなんじゃないだろうか?
ともかく、シミュレータが壊れたために訓練とやらはしなくてすむそうで、朝からぼーっとベッドで本を読んでいたりする。そうやって待機していて、警報が鳴ると飛び出していく。
遙さんはデータのチェックや報告書に追われ、作戦室に行ってもほとんど会話もできない。他にも何人かの知り合いができたけれど、この施設の中で僕は実験体のように特別扱いされていて、打ち解けることが難しかった。
あれ以前の記憶もないし……もしかすると、僕自身が合成人間なんじゃないだろうか? そんな思いもよぎった。
普美は、適当な距離をとりながらも僕のことを何かと気使ってくれる。一緒に食事をとるときなど、年下っぽいのにお姉さんのように接してきたりもした。仁子は逆で、ふだん威張ってるくせに、たまに急にしおらしくなったり頼りなくなったりした。
その日は魔機の襲撃も無いまま日が暮れた。寝転がって読んでいた文庫本の「現代語訳 養生訓 ~貝原益軒・著」にも飽きてきたころ。僕が施設の食堂に行くと、仁子と普美もいた。食後のお茶を味わっているときに、遙さんがやってきてこう言うまでは何事も無かった。
「いよいよ来週、プロト4が培養槽を出ることになったわ。」
反射的なのか、仁子が右から手を伸ばして僕の頭を胸に抱きしめるように引っ張った。普美は左から腕にしがみついた。
「いてて、いてえ!」
首関節と腕を極められ、僕は悲鳴を上げた。
「そんな顔してにらまなくても…」
二人は力の入った顔で、遙さんを見ていた。
「プロト4にはプロトとしての知識は入れないから、滝斗くんが教えてあげてね。」
「はい? もしかして、自分がシンクロイザーの操縦装置だってことを知らないんですか?」
遙さんが笑顔で頷く。僕は頭を抱えた。
何も知らない女の子を膝に乗せて、狭いコクピットで体中の敏感な部位をいじくりまくる。そんなことをどうやって納得させればいいんだよ!
「まあ、それはまだまだ先の話。培養槽を出ても2ヶ月やそこらは、基礎学習を脳に入れないといけないからね。」
遙さんが立ち去っても頭を抱えている僕の背に、仁子が元気付けるように手を置いた。
「心配しなくても大丈夫。プロト4に滝斗への恋愛感情を持たせればいいだけよ。」
「?」
「好きな人に触られるのは、女の子にとってけして嫌じゃないもの。」
「……じゃあ、仁子は僕が好きなの?」
そのとたん、やさしかった目がいつもの仁子に戻った。
「か、勘違いしないでよね! 私は滝斗に、しかたなく触らせてあげてるんだから! あんたなんか大っ嫌いなんだから!」
言い捨てると、仁子はドンと音を立てて立ち上がり、さっさと出て行ってしまった。
普美が心配そうに僕の腕を掴む。
「あの……私は好きですよ、滝斗さんのこと。だから……」
その手の上に僕の手を置く。
「ありがとう、普美。僕も好きだよ。」
普美は目をつぶり、頬を赤らめてうれしそうにこくんと頷いた。
このコは大切にしたい……できれば一生。
もしシンクロニウム弾を使うなら、やっぱり仁子より普美だな、とちょっと思った。
眠る前にシャワーを浴びていると、また仁子が来た。どうもあれ以降、仁子とは、気まずくなった後にはシャワーでなんとなく抱きしめ合って仲直りするという、変なパターンができてしまってる。ここまでしといてまだ一線を越えてないのも不思議な気分だけど……。
でもこのときの仁子は、隣のシャワーブースでなく僕のほうに直接入ってきた。
「ちょ、っとちょちょっと!」
「いまさら隠すような仲でもないでしょ?」
「どんな仲だよ!」
僕のツッコミにかまわず、仁子は僕の胸に寄りかかるように体を預けてきた。僕も手のやり場がなくなって、仁子の髪を指で梳いたりした。
そのうち、仁子のあごを軽く持ち上げ、唇を触れさせる。仁子も背伸びをして僕の首に腕を回した。二人の息と唾液がたっぷりと交換された。
仁子の胸が僕の胸に押し付けられて潰れている。ぷよぷよ動いて、なんかくすぐったい感じだ。シャワーのお湯が、密着した二人の肌に挟まれて広がっていった。
しばらくうっとりと抱き合ってた後、そのまま仁子がつぶやいた。
「あのさ」
「うん?」
「別に好きじゃないけど……イヤじゃないから。滝斗のこと。」
「なにそれ?」
「もう…男なら察してよ。」
察して勘違いだったら誰が責任とってくれるんだよ、という言葉は飲み込む。
けれど、この全身に触れている心地よさはやめられない……さっきは普美を選ぼうと思ってたのに、いまは仁子のことが愛しくなっている。
自分のいいかげんさに少し嫌気がさした。
その表情を仁子が見て取ったらしい。何か勘違いして心配したのか、急に饒舌になった。
「あのさっ、滝斗は嫌なやつじゃないから! グズではっきりしないところはあるけど、こうやってしっかり私を受け止めてくれるし、守ってもくれるし……それは認めてるから! 嫌いじゃないから! 嫌いって言ってもほんとは嫌いじゃないから!」
……これが、仁子にできるぎりぎりの意思表示なんだろう。
お湯なのか涙なのかわからないものを流している頬を、仁子は僕の胸にこすりつけた。
「だから、こんなことしてるんだからね。本気で嫌いだったら、こんなことしないんだからね!?」
「ああ……わかってるよ」
答えて仁子の背中をなでているうち、僕の下の方が持ち上がってきてしまった。これは生理現象だからしかたがない。
その熱くなったところが触れて、仁子も気がついたらしい。最初は軽く驚き、一瞬うれしそうな目をしたあと、いたずらっぽい笑顔になった。
「ふふ……あそこが、おっきくなったの?」
「仕方ないだろ。仁子みたいなコと裸で抱きあって、反応しない方がどうかしてるもん。」
「うふふ……」
仁子の手がそこへ伸びた。自分の手とは違う、肌の軟らかい手のひらと指がそれに触れて、上下にこすりだした。
「滝斗はこの辺が弱いのよね」
指先で、根元の筋の横あたりをつつく。
「うっ……」
思わず腰が引け、背中が壁にくっついた。濡れたタイルの冷たい感触が、前面の熱い感触と好対照となる。
仁子はゆっくりと膝をつき、それを口に含んだ。お互いに弱点はある程度わかってきている……仁子は唇でそれの根元からだんだん先のほうへととキスを重ねた上で、唇を先端に当て、ゆっくりと包んでいった。軽く当てられる歯と、うごめく舌が僕のそれを包み込んでいく。思わずうめき声か出てしまった。
「んふふ。がわいっ☆」
咥えたまま喋られると、その振動が敏感なところに響く。僕は歯を食いしばるように首を振った。
「ガマンひないれ、出ひひゃってゐーのよ?」
喋りながらもしゃぶることをやめない。サオ、カリ、亀頭と満遍なく仁子の舌に撫でられてるうち、僕は本当に我慢できなくなってきた。
「出、出そう。」
僕は仁子の頭を両手で掴み、腰を激しく前後させた。先端が喉に触れた感触もあり、仁子は軽く咳き込んだが、もう止まらない。むしろその振動が気持ちよさを増幅した。
「いくぞ!」
僕は、仁子の口の中に思いっきり放出した。
・・・・・。
「けほ……けほ……喉に射精するなんてひどい……」
仁子の口から白い液体がたれている。僕から出たものだ。僕は軽くシャワーを浴び、仁子の体も水洗いすると、お湯を止めて仁子の腰に腕を回した。
「今度は、仁子の番。」
「え?」
驚いている仁子をそのまま、ブースの外の床の、すのこの上に倒す。
そして上からのしかかって、耳にキスすると、次に胸に唇を当てた。
「は…ぁっ…」
仁子が、深呼吸のように息をつく。このくらいはもう慣れてきたのだろう。乳首を歯で挟み、その先っちょを舌でつついて、次に転がした。
「ん……ふぅ。」
シャワー室での仁子はいつもしおらしく、抵抗する仁子とまた違ってなんだか新鮮だ。
片手を仁子の背中にまわしながら、もう片手を下半身に当てる。もう充分に濡れてるようだ。指でぐちゅぐちゅと粘膜の入り口をかき撫でてみた。
「あ……あああっ!」
仁子の中に入って、膣内で果てたい──
そんな誘惑にも駆られたが、こんな形での喪失は嫌だ。なので僕は、仁子の脚やお腹に自分のそれを擦りつけ続けた。
すると仁子が、自分から手を伸ばして、それを自分の粘膜に当てた。すでに何度か経験してる、素股の状態だ。
僕は腰を前後させて仁子のそこに自分をこすりつける。仁子も脚を閉じ、その動きにあわせて腰を浮かせてきた。
これでまだ童貞と処女なのだから不思議だ……。
二人の息が荒くなり、肌がこすれあう。胸、腹、顔をお互いに触れあい、腕を背に回して、脚まで使って刺激しあっている。仁子の肌の匂いが脳を麻痺させていった。
「お、おねがい……」
息も絶え絶えに仁子が言う。
「もう……ちょうだい。……して。おねがい!」
その意味は僕にもわかった。どうしようと迷っているうちに、こすりつけているその先端が、仁子の粘膜の間に、徐々に侵入しかけてる感触が生じた。
あっ、まずい……でも、気持ちよくて止められない! 亀頭の両側に粘膜の感触があった瞬間。
「痛いィッ、やめてやめてーーーッ!」
仁子の絶叫が耳をつんざく。僕はハッとして腰を引いた。そして侵入をあきらめて、粘膜の入り口ににこすりつけ続けるだけにした。
「じゃ、外でいくぞ。いいな、仁子!」
「わかった。来て……どこでもいいから早く!」
仁子が涙声で答える。
侵入はあきらめたが一気に腰の動きを早めた。太ももに、茂みに、粘膜に、そして顔を出した突起に、僕のそれが擦れて濡れていた。
「くっ……」
「はぁぁぁぁぁっ!」
僕のほうが一瞬早かったようだ。どくん、どくんという脈動が感じられ、そこに詰まっていた熱い液体が仁子の下腹部に向かって飛び散った。3回、4回……それは何度も飛び出して、仁子と僕の密着した肌の間に広がっていくのがわかった。
ただ、脳裏に…なんとなく、普美の絶頂の顔が思い浮かんでしまい、少し罪悪感に襲われた。
出すだけ出してしまうと、自分に言い訳するかのように、脱力してうつろな涙目をしている仁子に唇をかさねる。仁子は強く抱きついて、僕の口の中に、甘くて熱い吐息を入れてきた……と思ったら、そのままかくっと全身の力をぬいてしまった。
──失神したらしい。
「そ、そんなに満足したのか? 素股で?」
僕はむしろ不審を感じたくらいだった。
その瞬間、ブザーが鳴り響いた。
「警告、警告。魔機、接近。!」
── つづく
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