第二話 (約14枚)
狩畑二尉は続ける。
「シンクロイザーの操縦装置・プロトは、サイコエネルギー・タンクでもある……その辺は憶えている?」
「いえ、まったく。」
狩畑二尉はため息をついた。
「何で私が時田博士の弟にこんなことを教えなきゃならないのよ!」
「す、すみません。」
素直に謝ると、狩畑二尉はまたため息をついて続けた。
「プロトの体内で体液が激しく活動し興奮度が高まると、シンクロイザーは高エネルギーで活動できるわけ。ぶっちゃけ、イッちゃった瞬間にリミットいっぱいの力を出せるのよ。」
なんとなくわかってきた。僕はさっきの戦いを思い出した。
「なら……性的に、その……経験の多い男性にパイロットをやってもらった方が……」
「個人別に専用インターフェイスが必要なの。今使えるプロトは2つとも滝斗君専用なわけ。それにテストは人体実験だから、やたらな人にやらせられないの。」
「で、僕なんですか?」
「どういう基準で滝斗くんが選ばれたのかは聞いてないけど。」
そのとき、ふと狩畑二尉は何かに気がついた。
「さっき、音波砲を使ってたわね。スイッチはプロトの口のはず…指だけでイカせたの?」
「えっ、ちょっ……」
僕は思わず赤くなって答えに窮した。
「だとしたら、滝斗君やっぱり才能あるってこと? よし、私が訓練に付き合ってあげる。」
狩畑二尉は僕の腕を掴み、引っ張った。
そのとき更衣室の扉が開き、普美が顔を出した。
「滝斗さん?」
「滝斗君借りてくから。プロト3は休息してね。」
「あ……」
狩畑二尉に引きずられていきながら、僕のまぶたに、見送っている普美のさびしそうで、なぜかちょっとくやしそうにも見える顔が焼きついた。
連れて行かれたのは、狩畑二尉の私室……らしい。洋酒のビンがころがり、ところどころに洗濯物も落ちている。女性下着もある。けっこうだらしない感じだ。
「ま、落ちついて。」
こんな異常環境で落ちけるか! と心の中で叫びながら、すすめられるままにベッドに腰掛けた。
「何か飲む?」
そしてまたすすめられるままに、出された透明色の液体を口にする。
「ぶっ! アルコールじゃないですか!」
「当たり前でしょ。実家から持ってきた勝沼産の白ワイン辛口よ、ちゃんと味わいなさい。」
味わいなさいもなにも、アルコールに慣れてない青少年にワインなんて、ただ苦いだけだ。最初に腐ったぶどうの汁を飲んだ人間て、何を考えていたのか……などと思っているうちに、頭がガンガンしだして、体中が熱くなってきた。
「もう酔ったの? 早っ!」
そうかもしれない。でも「早っ!」とか言われたら傷つくだろ。僕は、そこがベッドであることをさいわい、すぐ横になって、壁のほうを向いてしまった。
「もう、気が早いわね。」
急に明かりが暗くなり、何かごそごそ音がしたが、数十秒後、僕の背中に、何か布越しのやわらかいものが当たった。
「え!? ちょっと、これはもしかしてブラ…」
言いかけた口に、狩畑二尉の人差し指が当てられた。
「これと逆の状態になるの。」
ゆっくりと後ろを向く。狩畑二尉もこちらに背を向けた。彼女は下着姿で、背中に見えるブラのワイヤーがまぶしかった。
「えっと、その……どうすれば?」
「プロト3と同じように…指で。」
僕は、肌の上をそっとなでるように指でたどり、下から胸のふくらみに手を伸ばした。
「あっ……けっこう上手じゃない? 童貞って言ってたくせに。」
狩畑二尉がつぶやく。
「そうですか? 記憶は無いんですが…」
「シミュレータで訓練した効果かしら?」
いったいどんな訓練だったんだ……っと、これも訓練の一環と考えれば、だいたい想像はつくけど。
「狩畑二尉の胸、普美よりずっと大きくてやわらかい…」
「こんなときに二尉とか言わないの! 下の名前で呼んでよ。」
「えっと……なんて言うんです?」
「遙。狩畑遙(かるはた・はるか)!」
一瞬、僕の頭の中になぜか、ベッドでトマトが二つ転がる姿が連想されたが、すぐに消えた。
「じゃあ遙さん……触りますよ?」
「言わなくていいってば……ふっ」
僕の手はブラの下へ入り込み、遙さんの「生乳」を覆った。ちょうど手にしっくりくる大きさで、手のひらの上のほうに乳首の感触がある。そこを転がすように、撫でてみた。
「んん……悪くないわ。さすが、テストパイロットね。」
こういう、上から物を言う相手だと萎えてくることもある。だがこのときの僕には、なんだかこの女(ひと)を屈服させたい気分が強くなっていた。
目の前に見える耳に、そっとキスをして、舌で触れた。リンスのにおいと女性の汗の匂いがまざって僕の鼻腔をついた。普美とは違う、成熟した香りだ。
「あっ……そこを……」
遙さんの呼吸がだんだん激しくなってくる。胸や耳を刺激するたびに、足もこすり合わせ、何か別の生き物みたいな動きを見せてて面白い。それにこの髪の匂い…鼻から脳の中に侵入されるような感じで、自分の体がだんだん自分で制御できなくなってくる。これが、成人小説に出てくる「牝の匂い」というやつなんだろうか?
遙さんがビクビクと動くのが面白くてつい夢中になってしまい、乳首と耳たぶばかり責めていた。
「ちょっと……いつまでおっぱい揉んでるのよ。もっと他のところがあるでしょう?」
額に汗を浮かべ、顔を上気させながらも、遙さんはあくまで上位を保とうとする。僕は、そんな遙さんを……年上のはずなのに……かわいいと思ってしまった。
だから指を移動させるのもわざとゆっくりと……クモがワサワサと移動するように指を使い、わき腹からおへそへ、そしてその下、茂みへ……そこに触れるとわざと進路を変えて脚の方へ。
「ちょ、ちょっとっ……」
遙さんが力を入れて目をつぶっている。
「他のところへ行ってみましたが……」
「そういう意味じゃなくてっ!」
遙さんの脚はこすり合わせ続けられている。どこを刺激したいのかはわかっているけれど。
「どこですか?」
「そ、それは……」
「どこです?」
「お……おま……」
「え? どこ?」
「もうっ! ここよ、ここ!」
遙さんは焦れてしまったようで、僕の手首を掴むと、自分の股に手のひらを当てさせた。
ま、しょうがないか……僕はすでにねっとりと液体に満たされている粘膜を指先で引っかく。軟らかくて暖かい感触が、びくびくと動く反応とともに指先で感じられた。
「…………っ」
耐える遙さんを見ていると、もっといじめたくなってくる……僕は、その割れ目を指で広げると、手探りでクリトリスとかいう突起を探り出して、指ではじいた。
「はうあっ!」
遙さんの背骨がびくんと伸縮する。面白いのですばやく何度もはじく。
「あっ……んあっ……んぁっ……かっ……」
その都度、遙さんの喉から、言葉にならない声が漏れてきた。
「も、もう、じらさないでよ。早く……」
「早く? なに?」
「い、入れ……」
そのときだった。いきなりスピーカーからブザー音が流れる。
「警告・警告。魔機、接近。」
「ンもう! また!?」
遙さんが激怒して毛布を跳ね除けた。
「シンクロイザー、出動よ!」
僕も慌てて服を整えようとする。
「服着てる暇なんか無いってば!」
自分はしっかり着てるくせに……僕は半裸のまま廊下へ突き出された。
「ど、どうすれば……」
「始動室へ行くのよ! 早く!」
始動室に行くと、そこには普美……ではなくプロト2がいた。
「遅いわよ、グズ滝斗!」
「え? 普美は?」
「前の出動からあまり時間が経ってないのに行けるわけないでしょう! プロトの消耗は激しいのよ!?」
パイロットはかまわないのか、と疑問を抱きつつ、促されるままにシートに座る。そして、プロト2が僕の膝の上に座った。
「すわり心地悪いわよ。てゆーか、真ん中に何か当たってるんだけど。」
「ごめん、でもこんな体勢は刺激的で……」
「何とかしなさいよ、気持ち悪い! このケダモノ!」
プロト2のやわらかいお尻が動いてズボンの上から刺激するため、収まるどころかどんどん硬くなってしまう。
「ごめん、無理……」
全部言う前に座席が射出された。
シンクロイザーのコクピットに入る。
「始動しなきゃ……」
「もう…! 本当はあんたなんかとこんなことしたくないんだから。しかたなくさせてあげるんだからね!」
プロト2が振り向いて、顔を赤らめながら唇を突き出す。
……ツンデレ? そんな言葉が脳裏をよぎるが、考えてる暇は無い。その唇に触れた。普美よりも弾力の効いた感触が唇にきた。そして、鼻からの息も普美より濃い香りがした。
とたんに周囲のランプが灯る。
もうちょっと、この甘い息を味わっていたい気もしたけれど、プロト2はすぐに離れてしまった。
「ファーストキスだったんだから! 感謝してよね!?」
その声に重なって機械音が聞こえる。
「ユニット、プロト2を確認。パイロット、時田滝斗を確認。シンクロイザー、始動。」
続けてエンジン音も高まってきた。
「カタパルト始動、シンクロイザー発進!」
僕は慌ててプロト2の胸──これが操縦桿だ──を掴んだ。手のひらにちょうど収まる大きさだった。
「ちょっ……いきなり何すんのよ!」
「こうしないと操縦できないだろ!?」
「そうだけど、初めてなんだからもっと段階が……ああっ!」
しゃべってるうちにGがかかり、モニタに大空が映し出された。すでに空中に射出されていることが、背中の感触からもわかる。
「噴射は、たしか……」
普美より大きくて遙さんより張りのいいその胸に当てた手を、僕はやさしくゆっくりと開閉させた。
「あっ……揉、揉まっ、ないでよ!」
プロト2は身を捩じらせて抵抗するが、狭いコクピットの中で膝の上に乗ってる以上、逃げ場は無い。
「んっ…んっ…んんッ!」
手のひらをすぼめるたびにプロト2の鼻から声が漏れる。なんだか、僕まで妙な気分になってきた。
モニターに魔機が写る。今度は、球体にたくさんの触手が生えた、タコの逆立ちみたいなやつだ。
僕はプロト2のスーツのジッパーを一気に下ろした。
「きゃああっ! 変態!」
「僕にいじられるのが嫌なら、早く終わらせるから協力しろ!」
プロト2がびくっとして、目を見開く。振り返って、こちらを向いた。
「君のことを思いやってる余裕は無い。いくぞ!」
僕はスーツの中に手を入れ、先っちょに突起のあるそのふくらみを直接に触った。
「あんっ! はんっ!」
プロト2が目をつぶって声を漏らす。が、容赦なく、四本の指で乳首を転がすように刺激する。刺激する方向と強さによって左右のロケットの噴射角や速度が変わるのがわかった。
魔機の触手が伸びてくる。その間を飛びぬけようと、僕はプロト2の乳首を懸命に転がした。
「はひっ……んふっ……んはあぁっ!」
プロト2は体をよじるが、容赦してる暇は無い。右手を胸から離し下半身へと伸ばした。
「嫌ぁっ!」
プロト2がその手を振り払う。
とたんに背中に衝撃が走り、シンクロイザーが着地に失敗したことがわかった。
そこへ、魔機の触手が伸びてくる…!
── つづく
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