<団鬼六文学の世界>石川裕子著
「とてもじゃないがこの本に推薦文はかけないよ。」
だが裕子の著作は優れている事に教授は直ぐに気付いた。やはり裕子は才能がある。折角の才能をこんな世界に使うなんて惜しい。
マスコミでも注目され始めた才色兼備の裕子がマゾヒズムを認めるとも思える内容だ。売れるのは間違いなかった。
「教授の気持ちもわかります。ここは私に任せて貰えませんか。決して悪いようにはしません。教授にとっても。」
<団鬼六文学の世界>の発行が決まった。推薦文を書いたのは私立大学の教授西山だった。
経営不振に陥っていた東条大学は立石の提案を受け入れ西山に白羽の矢を立てた。
西山も裕子の才能に驚いた。こんな才能があるのにマゾとは、、
メーキャップを終えた裕子は写真撮影のスタジオに入った。玄人のメーキャップに裕子の美しさ一層輝いた。
上下黒のスーツ。スカートは膝上20センチ程。両手で団鬼六の本の一冊を持ち胸の当たりにかざした。
笑顔は見せずやや下向き加減に憂いの表情を見せている。
隣には50歳の西山教授。有名大学を諦め最近東条大学に教授として拾われた男だ。
才能から言えば裕子にも遠く及ばない西山だが際の以上に権威を振りかざすのが得意の男だった。
裕子の隣でこの男は勝ち誇ったかのような笑顔の視線で裕子を見下ろしていた。美女と野獣だ。
そんな写真が裕子の新書の表紙に推薦文と共に印刷されることになる。
本の最後には西山への感謝と思い。国立大学を退いてまで東条大学に着いたのかも書かれていた。
裕子の事情を知った学生たちもがっかりした。最近の裕子は普段はすっかり無口になっていた。
教授の期待を裏切り自分の恥ずかしい性癖と葛藤しながら日常生活を送っていた。
「まあ。がっがりするな。定例会には出席して下さるんだ。最後まで。」
定例会では裕子は団鬼六のヒロインが乗り移ったかのようにセリフも演技も完璧にこなした。
寿司屋での同好会が作った映画は違和感こそあれ完成して関係者だけに秘密裏に上映された。
原作には想像だけ終わらせ読者には欲求不満を感じさせる場面も多いが最後の回でお裕は寿司屋が招待した客も含め
30名以上の酔客に取り囲まれ花電車の芸を全て習得したお裕は遂に尻の穴からゆで卵を産んで見せた。
恍惚の表情を見せ映画は終了した。
同時に裕子は東条大学の宣伝にも駆り出された。
一般的な学部では対抗できないため芸術の要素を多く含む学部が新設されることになった。
文学部は残されるが<団鬼六研究室>が裕子のために開設された。
これは文学部の学生だけでなく映画部。AIチャット部など全ての学部の学生が参加出来た。
AIに関しては比較的有名大学にも対抗出来ると学園は睨んでいた。
鬼才と呼ばれた映画監督の石井。名前だけは売れているがヒット作はなかった。
バラエティー番組でも大学の素晴らしい環境を訴え宣伝も忘れなかった。
経営上田舎の土地しか手に入らなかった東条大学だが撮影場所には最適だ。勿論ヌードシーンにもと付け加えた。
あたかも石川裕子主演のポルノでも撮るのかと視聴者に期待を持たす発言の連発だ。
さらに新鋭の若干35歳のAIの教授として山本も就任した。
著作権などの問題を指摘して法律の改正など石川裕子氏からの承諾も頂いたので学生たちと一緒になって検証していきたい。
そう訴えた。
さらに演劇界からも。古くは寺山修司などアングラ演を受け継ぐ船山も演劇部教授として招待された。
10年以上前にも<花と蛇>を舞台で演出した。一瞬ではあるが女優は全裸の後ろ姿も見せたがそれが限界だった。
学園には100名程収容出来そうな舞台を新たに建設した。それはストリップ劇場そっくりの構造だった。
観観客のすぐ目の前で演技することで俳優の成長や演出もできる、、くどくどと述べた。
マスコミに完成した劇場が公開された。
10メートルの正面の舞台とストリッパーたちが特出しをするための様な円形の舞台がふたつ。
回転装置もついていて周りを取り囲んだ観客にまんべんなく鑑賞される仕掛けになっている。
さらに天井からはあのヒロインの両足を吊り上げる装置も備えられ2本のロープが垂れさがっていた。
「あれは、、先生?」
「君も勉強不足だね。少しは団鬼六の小説を読みたまえ。」
4月間近に団鬼六の虜になった記者が再び訪問すると怪しげな小道具が次々と運ばれていた。
ロープ、犬の首輪とリード。古びた洗面器は昭和を連想させる。同じくオマル、大小の浣腸道具。本格的な医療器具もあった。
江戸時代に使われた張り型各種、異様なねじり棒。大中小の芋茎で出来た卑猥なものまで。
現代劇に使用される昭和の時代のバイブやアナル栓各種。肛門鏡。肛門開閉器。
「ここは勉学の場だ。金儲けでやってるんじゃない。勿論世間の評価も気に成らない訳でもない。
鑑賞したい人は何時でも歓迎するよ。」
衣装なども運び込まれてきたが時代物に使われそうな豪華な衣装は無かった。
「小手先な安物の衣装では胡麻化したくないんだ。日本髪もかつらでなく自前で結わすつもりだ。
激闘を繰り返したあと返り討ちにあったヒロインの日本髪が自然に解かれ素っ裸の肩から尻のあたりまで垂れさがる。
どうだ。髪が伸びるまで現代ものを予定している。何も団鬼六専用ではないからな。
今回の題は<或る女の転落>と仮にしておこう。
主役の女優は残念ながら4月まで来ない。よその大学から編入して来た学生やすでに寮に入った新入生も既に練習に入っている。
今回彼らは私服で充分。ヒロインも出出しこそ私服で登場するが残りの全編は衣装なしだ。」
「是非、、私も招待して頂きたいのですが」
「いかにうちの大学の宣伝をしてくれたかによるよ。」
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