まずはどうにかして山之内未来音に近づきたいが、過去の経歴がバレてしまえば、近く事すら不可能だ。
そう思い、交友関係を調べ上げた。
花巻不動産の花巻彩羽〈はなまきいろは〉と縞野官房長官の娘、縞野咲蘭〈しまのさらん〉
この二人が一番の親友らしい。
数日、調査すると、微かな糸口が見えてきた。
たまに縞野咲蘭を車で迎えに来る男がいる事に気付いた。
駅から少し外れた脇道が待ち合わせ場所らしく、今日も咲蘭が脇道に消えて数分後には咲蘭を乗せたアウディのフロントがゆっくり出てきて右折していく。
薄暗いが街灯の灯りが運転席を照らして運転席側から覗くと微かに男の顔がわかる。
早世にはその男に見覚えがあった。
あれは、篠川玲王〈しのかわれお〉だ。
山之内書店時代に篠川宅に何度か招かれた時に紹介されている。
世間話をした事もある、向こうも私を覚えているはずだ。
まさかこんな所で篠川のスキャンダルの種が転がっていたとはな。
今更だが、ただ、この事実はもしかしたら、使えるかもしれない。
一度、玲王に接触するしかない、それが一番最短で、確実だ。
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