席に着くなり篠川玲王は
「あの…父には咲蘭の事は…」
と言いづらそうに言ってきた。時間作ったから黙ってて欲しいと言いたいんだろう。
しかし、私も篠川に玲王と接触した事は知られたくないので、好都合だ。
「ああ、私は余程の事がない限りはそんな簡単には喋ったりはしないよ」
「お願いします。」
「縞野とは長いのか?」
「すいません、もう勘弁して下さい。」
とこれ以上、私に弱みを握られたくないんだろう。
そして私は本題を切り出した。
「山之内未来音は知ってるだろう。」
篠川玲王は意を突かれた様に目を丸くしながら言う
「は…はい…確か……高校生の頃、父に連れられていったパーティーで2,3度お目にかかった事がありますかね。」
「連絡先は?」と聞くと
「知らないです知らないです」と即答し
「お互い挨拶程度でまともに会話すらした事ありません」
やっぱり篠川玲王からは山之内未来音には繋がらないか…と思い、本命の縞野の方に切り替えた。
「彼女は山之内未来音と友人らしいじゃないか」
「あ、あぁ、そうですね、話はたまに聞きます。」
「どう言う話を?」
「え…どう言う話と言うか、食事行くとか、買い物くとか…エステとか……ですかね。」
「一度、縞野と会わせてくれないかな?もちろん玲王君と一緒にで構わないんだが。」
思いもしなかった早世の言葉に篠川玲王は呼吸を止めて早世を見つめた。
「無理だとは言えないはずだが?」と私が言うと
「まぁそれはいいですけど…早世さんは何故、山之内未来音の事を調べてるんです?」
「それは詮索しないで欲しいな。玲王君、君も同じ条件なはずだよ」
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