官能小説を発表し続けながら智子は自分が強度のマゾであることを自覚した。
小説のヒロインは全て智子を投影いたものであり全てのヒロインはキャリアウーマンが下卑た男、いや女も含めて全ての人間に服従していくというストーリだった。
下卑た人間には勿論テレビ局でセクハラをしてきた重役も含まれていた。
00書院の編集長は訪ねて来た智子の顔を見てもそれが元報道キャスターだとは知らなかった。
主にBS放送の夜の10時台に放送されるお固い番組をエロ小説専門の編集長は見たことがなかった。
ただ智子の美貌には注目した。そして『奴隷キャスター』の作者だと言われた時はさすがに戸惑った。
「いつもお世話になっております。」
才色兼備の作者の登場にそれ程社員の多くない会社は大騒ぎになった。
官能小説の売り上げも近年激減して会社としても将来も危ぶまれていた時だった。
そんな時に智子の小説のヒットには随分助けられた。まして今回は映画化という話も持ち上がり00書院としても
原作の販売元として数社から話が舞い込んでいた。
「これは、これはあなたが、、まさかこんなに美しい女性とは存じませんでした。
弊社としても原作者の、、」
「森口智子ですわ。本名。」
「ああ、ひょっとして昔報道キャスターされてたあの森口智子さん?」
社員の一人が智子のことを知っていた。
「すると、、あの物語は真実なのでは?」
「いえ、フィクションですわ。映画化のお話の噂を伺って本日お邪魔させて頂いた次第でございます。」
社員は容姿だけでなく丁寧な喋り方にも惹きつけられていった。
「どこかと契約されたらっと思いまして慌ててやってまいりました。、、本当はもっと熟考するべきなんだろうと思いますが、、
この機会を逃せばもう二度とチャンスは来ないと思います。今から私が取る行動はノンフィクション作品になるでしょう。
出来たら記録して頂けるとありがたいですわ。」
「動画と録音もですか?」
「ええ。」
準備が整うと智子は改めて自己紹介するともう数人の社員が智子のキャスターとしての実績やいつの間にか干されてテレビから
消えていったことを他の社員に伝えた。
「俺たちエロ本業界にとってはとても手の届かない高値の華って訳だ。」
「、、、訳だった、、ですわ。熟考して気の変わらないうちに言います。宣言いたします。
映画とかの業界のことは良く知りませんが私、森口智子はヒロインとして映画デビューいたします。
今日ここまでやって来れましたのも皆様00書院様のお蔭です。
脚本や監督は出来れば自らして経費も節減いたします。共演者も募集すれば、、、内容によっては無料で、そう考えております。
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