その5
「京子さんここです!ここ!」
声のする方を振り向くとそこには奥の4人掛けボックス席からこちらに手を振る佐藤の姿があった。約束の11時より10分前に着いたにも関わらず、すでに佐藤はドリンクバーの注文も済ましてあるようで、半分ほど飲み干したコーヒーカップをテーブルの端に寄せた。
「お待たせをしてしまい申し訳ございません!」
京子は慌てた様子で佐藤の待つボックス席に小走りで向かった。
「本日はわざわざご足労を頂き申し訳ございません!
少しの時間しか取れなかったものですから、こちらのわがままで場所まで指定しまい、、、」
京子がそこまで言うと佐藤は顔の前で大きく手を横に振りながら笑顔で答えた。
「いえいえ。京子さんに会いたいとしつこく誘ったのは私の方なんですから、場所なんてどこであっても伺いますよ。只、本音を言えばファミレスのランチよりオシャレなBARで一杯なんてのが良かったかな。」
そう言って笑うと佐藤は京子に座るよう促した。
お互いがランチメニューを頼み終えると、この嫌な緊張感から逃れるように京子から話しを切り出した。
「それで佐藤さん。今日呼ばれたのはシンジの事でしょうか。チームでご迷惑をお掛けしていたりしないでしょうか。」
京子の問いに佐藤は演技じみた表情を浮かべて答えた。
「シンジくん?まさか。そんな事でわざわざ貴重な有給を使ってまでファミレスになんかに来ませんよ。
本当はわかってるんだろ?お前を犯しに来たんだよ。」
佐藤はそう言うとにこりと笑い京子の様子を伺った。
京子は呆気にとられ、只呆然と佐藤の顔を見返すばかりだった。
声が出ないのか、少し口を震わせながら、パクパクと唇が上下するが、そこからは何も発せられてはいなかった。
「聞こえなかったのか?というより、今何をいわれたのか理解が出来ないと言った顔だな。」
佐藤はそう言うとニヤリと笑いテーブルに肘をつき、顔をぐっと京子に寄せて、あえて低い声で言った。
「京子。お前を犯しにきたんだよ。ぐちゃぐちゃにしてやるからな。」
佐藤はそう言い終えるとソファーの背もたれに身を預けて、呼び出しのブザーを押し、生ビールを注文した。
佐藤は先に頼んでいたランチよりも先に届いたビールを一気に半分ほど飲み干すと、京子を睨みつけるような目で見てすごんだ。
「どうした?おい。口が聞けなくなっちまったのか?」
そう言いながらいつの間に脱いでいたのか裸足の足で京子のスネ辺りをさすった。
驚いた京子は身を固くして、脚を右に逃したが、佐藤は面白がるように逃げる京子の脚を自身の足で挟み込み逃げられなくした。
そうするとようやく京子はか細く消え入りそうな声を出した。
「やめてください、、、」
佐藤の目には京子は今にも泣き出しそうに見えた。
それが愉快でたまらなかった。
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