コツ、コツ、コツ、コツ、コツ、、、
歩くたび、ハイヒールが大きな音をたてる。
それはまるで悪意のある男を、私を襲う男を呼び寄せているように感じた。
コツ、コツ、コツ、コツ、コツ、、、
大丈夫、誰も来ない。
誰にも見つからない。
こんな時間に誰かが来るはずがない。
そう思いながら、私は今まさに仕事を終え 車を取りにくる男を想像していた。
バーテンダー、キャスト、ホスト、、、どれも酒に酔っていて理性の崩れ掛けた男だ。
夜間専属の警備員、くたびれたサラリーマン、夜勤明けの土木の作業員、、、どれも女に飢えていて、汚れた服を着たガサツな男だ。
コツ、コツ、コツ、コツ、コツ、、、
私の足は、わざと少しだけ遠回りしながらエレベーターホールに向かった。
もう車はほとんど停まっていない。
けれど、このフロアだけで3台も停まっている。
コツ、コツ、コツ、コツ、、、
静かな暗闇にハイヒールの足音が響く。
まるで、その後は悪意を持った下品な男を呼び出しているように感じる。
この音を聞き車のどれかから、いや全ての車から 今まさに男が出てくる・・・そんな光景を想像しながらエレベーターのボタンを押した。
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