「ない、、認可状が。まさか佐助が」
宿に帰った波路は敵討ちの認可状が佐助に持ち去られたことを知った時はもう手遅れだった。
それは三五郎一家に手土産として持ち込まれてしまった。
「佐助。でかしたぞ。これで命拾いで来たってもんだ。」
そんな時に三五郎親分が代官所から帰ってきた。長い話だったようだが上機嫌で手には十手が握られていた。
「親分、それは?十手じゃござんせんか」
どうやら代官の山内からこの宿場町を任されたそうだ。
「なるほど今じゃ波路殿は許可なしで熊三達を襲った極悪人。親分に御用される運命なり。」
源八郎も上機嫌で杯をあけた。
「山内様の後ろ盾があれば波路100人いたって怖くねえぜ。」
「それに山内様は波路とは因縁があるそうで。」
三五郎はその話をみなに聞かせた。
「どこかで聞いたことがある名前だと思ったがあの山内か、、、あいつは昔から悪知恵の働く男だ。俺の出番なんかないくらいにな」
源八郎もそういうのでみんな大船に乗った気分になった。
「長年のやもめも終わり波路を嫁にするつもりだろうよ。」
「いや、あの男の波路に対する恨みはそんな甘っちょろいもんじゃない。まあその執念のおかげで代官にまでなったのは
間違いないが。」
「ここはみんなお代官に協力しようじゃねえか。えいえいおー」
代官の行動はさすがに早かった。波路が事情を話に代官所へ向かう途中の村外れでのことだ。
勿論波路は代官があの山内だとは気づいていない。
すれ違う人々がことごとく遠くから波路を見つめ囁きあっているのだ。
そして宿場町に差し掛かった所でその理由を知ることになる。
立札に波路の似顔絵、名前と年齢。そして罪状が数か条書かれていた。
波路はそれに近づき罪状を呼みだした。
<戸山波路。26歳。免許皆伝の強者。許可なしに仇討ちに出て二名の命を狙い数名に傷を負わす。
仇討ちと偽り国元を出て下男と昼夜問わず肉欲に没頭。下男は助けを求め自首。>
(、、、これは一体、、、)
波路には訳が解らないが周りの連中は波路を恐れて離れて行く。
「それにしても偉い別嬪じゃねえか?そんな悪いことをするなんて信じられんよ。」
「なんでもお尻の穴が好きなんだってらしっわよ。」
(まさか、、佐助、、)
波路が肛門愛好者で佐助に覗かれて知られたことは事実であった。
そして今、、公然の場で噂に。
佐助からその話を聞いた時は三五郎たちは大笑いしてこれで勝ったも同然だと思った。
それ以上に山内は狡猾な作戦を与えていったのである。
脇差をさした波路に遠くから熊三と伝助の二人の仇がへっぴり腰で近づいて来た。
「、、おのれ、父の仇、、、覚悟し、、、」
「ピー、ピー」
その時笛の音がして三五郎一家が現れた。
「こしゃくな。また手助けするか?」
「波路、これが見えねえか。」
波路はハットした。それは十手だった。
「今日からこの町を預かることになったんだ。やい、、認可状持っているのか?」
「そ、、それは。」
「波路どの、許可なしに熊三達を殺めるとは天下の大罪でござる。さあ親分の御用になるのだ。」
「源八郎様まで。」
「波路、神妙にしろ。」
隙をつかれ長い棒で何本も足を払われ遂に波路は捕らえられた。
馬の足音が聞こえたかと思うとそれは代官の山内だった。
「お久しぶりでござる。波路殿。」
「、、お前は、、山内。」
「「失礼言うでない。山内様は今じゃこの地の代官だ、頭を下げぬか。波路。」
無理やり頭を地に這わされ着物の裾などが乱れたりする。もう誰も波路に同情するものなどいなかった。
「色っぽい尻をしてござるのう、ここで佐助と交わっていたのか?」
源八郎が波路に尻を摩り肛門のあたりを指さす。
波路は恥ずかしさのあまり声も出ない。もういつもの波路ではなかった。
「、、うう、お願いでございます、、そのような無体な、、」
波路が宿を出て半日近くなる。さすがに尿意も催してきて波路はいよいよ追い詰められた。
「どうされた?随分震えておられるが?」
「お察し下さいまし。暫くの間、、ほんの一時縄を解いて下さいまし。」
尿意を催していることを全員が気付いているがじわじわ波路を追い込んでいった
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