団先生の小説では原作によると波路は明治まで女郎として生存しています。素っ裸で縛られ悔し気にカメラから目をそらす波路の
全裸の写真も残されていました。背丈のありそうな小説通りかなりの美人であったことが伺われます。
写真は一枚だけですが丁度今NHKで蔦谷重三郎を放送していますが物語と並行して版画と思いますが裸の波路を写生したものが
多く載ってました。素っ裸の引き回し、宿場町での群衆に取り囲まれ晒され排便まで強制されている絵が生々しく性器や肛門まで
詳しく描かれていました。恐らく可成り売れたことでしょう。明治になっても三五郎の支配下でその女郎屋には
波路目当てで大層賑わったそうです。
あれから100年、それは鬼六先生により『鬼ゆり峠』として官能的に波路は蘇りました。
言語に絶する辱めを受けても決して美しさを失わない、、そんな表現にされています。
そしてそれから50年。今波路の真実を忠実にこの団泰二が令和の世にお伝えいたします。
父親の仇を討つため下男の佐助と二人で波路は旅にでました。当時の敵討ちの手続きなどかなり複雑らしく
世継ぎの弟は国に残っていたようです。
また敵討ちの成功率もかなり低かったそうで国を出て僅かな歳月で相手を見つけたのはある意味ラッキーだったかも知れません。
それがいずれアンラッキーだった筈の伝助達にとっては結果的にはラッキーとなりその後の幸せな余生をすごせたことは
誠に人生って何なんだって思ってしまいます。また小説では波路は隙のない完璧な人間とされていますが
現実の波路にそこまではまいりません。
その一番の欠点が同行の下男の佐助に厳しく叱ったことでした。
三五郎一家の子分や用心棒に手負いを負わせもう一歩のところで悲願がかなうところまで追い詰めたところで
佐助の裏切りで取り逃がしてしまう。元々、佐助と中間の熊三、伝助は仲が良く全員波路に下心を抱いていた。
波路に恋文を渡し波路の今は亡き父親の手で藩を追いやられ今は三五郎一家の用心棒になっている源八郎も加われば
波路を物にしようとするのは当然だ。
そして今新たな強敵が。山内新左衛門。血は繋がってはいないが波路の遠い親戚にあたる。
藩が違うがそう遠くも離れていない。品の無い顔で乱暴ものだった。
40を前にしてまだ一度も嫁の来てがない。
「拙者はいつかあの波路を嫁にするのだ。」
そう言いつつも波路は今や人妻。最近は三五郎一家の女郎屋へ入り浸りだ。
勿論料金など払う筈は無くその代わり一家にも損のないように計らってやっている。
生き方のうまい男で今では代官にまで出世して賄賂なども平気で要求する。言うところの悪代官だ。
波路と三五郎一家の大立ち回りを偶然目撃した山内はその女が波路であることを確信した。
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