<12話> 完璧な分析
『とりあえずー。M男?もう一度自分のルールを掲示して?』
『はい。以下となります』
・毎日寸止め2回
※寝る前と家を出る前(出勤時)
・通勤の行き帰りの電車はタイプの女性の脚を3分以上眺める。
・100円ショップで買った黒のストッキングを、上記の女性の中で最も匂いそうな脚の記憶を思い出しながら寝る前の寸止めを行う。
『ありがとー。で、お前はどうせその足から香る匂いが強ければ強いほど興奮するんだよね?』
『そ、そうです……』
『通勤中。3分と言いながら、時には10分。行き・帰りと言いながら二人かと言えば、何人も眺めたよね?』
『う…はい…そ、その通りです…』
『そして電車の中だけでなく、歩行中、買い物中、時には会社でさえ黒のストッキングを履いてる女性を見ては興奮してた』
『そ、その通りです…』
『そしてあんたは寝る前に新品のストッキングを嗅ぎながら、様々な女性の脚を思い浮かべて "ああ……!しゃぶりつきたい。心行くまで嗅ぎまくりたい” って思いながらシコシコする』
『は…………い…』
『だけどイクこともできず、悶々としたままムラムラして眠れない日々を過ごした』
『そうです……』
『起きると睡眠不足もあって体調は優れないけど、激しい発情に襲われる。きっと机の上かベット脇にでも置いてあるストッキングに目が行く』
『はい……』
『そして支度を早々に済ませて、少しでも寸止めの時間を長くするためにキビキビ動いちゃうw』
『うう……そうです……』
『時にはスーツを着てから、時にはネクタイを締めてから惨めにシコシコ。ストッキングを嗅ぎながら本当はシコシコしたいと思う』
『はい……』
『でもストッキング嗅ぎながらする寸止めは寝る前だけ。とりあえず寸止めをして、勃起も収まらないまま会社に向かい、また電車の中も、駅に向かう道も、会社に向かう道も、社内も、お昼休みも、外回り中も、帰路も、ずっと見る。いつのまにか黒のストッキングばかり見る。あれおかしいな?ベージュのストッキングやカラータイツもあるのに、黒ばかり目で追いかけているなーっていつしか気が付く』
『…………ぅぅ』
『そしてまた寝る前にストッキングを嗅ぎながら"見た(黒い)脚”を思い出して寸止めをする。そして、きっとこう思う』
『は…………い?』
『あれ。おかしいな。昨日よりいい匂いがする(気がする)。あれ……なんか本当に女の人の匂いみたいに……ああ!なんで!!こんなの興奮しちゃうう!』
『うう…………な、なんで……』
『…………なんで、、、なんでそんな風に思うんですか?にゃん……』
私はまるでTVでドラマを見るように、いや、何かの小説を読んでいるかのように琴葉の言葉を追いかけた。
M男の気持ちが手に取るようにわかる琴葉。
未来を予想し、M男が苦しむように、、、いや……悦ぶようにルールを創ったというのか。
琴葉の解説は続く。
(13話へつづく)
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