芙美子の回想 (4. 淫売の掟)
若いヤクザと、その後ろを寄り添って歩く女性が、長い廊下の向こう側に見えてきました。
「典子、もっと速く歩け。」
男の肩越しに見える女性は少し足取りを速めますが、すぐに前のめりになって立ち止まり、男に引っ張られて歩きはじめても、また前のめりになって立ち止まります。どこか痛いところでもあるのか、眉間にシワを寄せて耐え忍んでいるようにも見えます。
若いヤクザと女性が部屋の入り口まで来て、私の視野に女性の全身が入ってきた時、私はあまりの衝撃で心臓が止まるかと思いました。
その女性は布切れ一枚身に付けてない色白の体を、江戸時代の囚人のように厳しく縄掛けされています。さらに驚いたことに、もっとも恥ずかしい部分を覆うはずの飾り毛が全くありません。あろうことか、その一番柔らかくて敏感な部分は、無残にも麻縄がきつく締め込まれ、深く埋没しています。私は、女の身にこれほど残酷で屈辱的な仕打ちがあるとは想像もできませんでした。
ヤクザの一人が女性に近づいて局部に指を這わせ、「よう締まってるなあ。指ねじ込もうとしても入らんわ。」と言って笑いながら「典子、ところでお前なんで股縄締められたんや。」と尋ねました。女性は消え入るような小さな声で言いました。「私がもっと女らしくなってお客様に喜んで頂けるようにと、先生がなさって下さいました。」 「もっとはっきり言わんかい。股縄の裏はどうなってんのや」
「オ、オ…オメコと…お尻の穴に……」私は、この世でもっとも卑猥な言葉を可憐な女性が発するのを聞いて愕然としました。「オ、オ…オメコとお尻の穴にお薬を詰めて頂きました。それから電気で振動するおもちゃをオメコとお尻の穴に入れて頂きました。それから、落ちないように縄できつく締め上げて下さいました。」
女性は羞恥で顔を真っ赤にして震えています。すると男は、ツルツルの下腹部に耳をぴったり当てて「ブーンって小さい音聞こえるやないか、こりゃええわ。」と言って笑いました。女性は男から逃げようともせず、頬に涙を伝わせながらじっと耐えています。
一番恰幅のある男が「典子、新入りに十の掟を教えてやってくれ。」と言った後、私に向かって「芙美子、ええか。よう聞いとけよ。お前の立場がよくわかるやろ。」と諭すように言いました。
女性は、「それでは十の掟を暗唱させて頂きます。」と言って大きく息を吸った後、物悲しげな声でゆっくりと暗唱を始めました。「一つ、淫売に堕とされた女は二度と元の世界に戻れません。」 「二つ、淫売に堕とされた女は、布切れ一枚、身につけさせてもらえません。淫売は四六時中、丸裸でいなければなりません。」
女性は我が身の境遇を憐れみ、かみしめるかように、ゆっくりと語り続けます。
「三つ、淫売に堕とされた女は、陰毛を生やすことを許されません。オ…オメコはいつも丸出しでなければなりません。」 「四つ、淫売に堕とされた女は、牢屋を出たらいつも両手を後ろ手に縛られなければなりません。お客様にオ…オメコして頂いている時も、排泄中も縄をほどいてもらえません。」
「五つ、淫売に堕とされた女は、許可なしに排泄する自由はありません。許可が頂けるまで、ずっと我慢しなければなりません。許可を頂いて排泄をはじめても「ストップ!」の号令がかかれば間髪入れず、排泄を中断しなければなりません。」
「六つ、淫売に堕とされた女は、オ…オメコ・口・お尻の穴をすべて使い、お客様にご奉仕しなければなりません。」 「七つ、淫売に堕とされた女は、お客様が排出された精液を一滴残らず飲みほして、ごちそうさまでしたと言って感謝しなければなりません。」 「八つ、淫売に堕とされた女は、お客様がお帰りになる前に、お客様の陰茎・睾丸・お尻の穴が完全に綺麗になるまで舌で舐め上げなければなりません。・・・・・・・」
あまりの衝撃で、私の意識は遠のいて行きました。
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