芙美子の回想 (3. 発端)
夫の実家は旧財閥家の流れを汲む家系で、先祖から受け継いだ莫大な資産をいくつかの法人組織で運用していました。夫も私も名義だけの役員になっておりましたが、資産運用の実務は委託先の信託銀行に任せていました。
当時、夫は43歳、私は36歳で都内のミッション系大学で教授、准教授の職にありましたが、二人とも神学関係の至って地味な研究に勤しみ、最愛と夫と充実した人生を歩んでいました。
ところが、夫の両親が交通事故で亡くなり、その1ヶ月後に夫が急性心不全で後を追うように亡くなってしまいました。
夫の49日の法要が終わったその日、信託銀行の方々が訪ねてきました。法人化している資産の一部を売却して相続税納入に充てる必要があり、是非とも今すぐに有望な売却先と会って仮契約を締結するよう強く勧められました。夫が突然帰らぬ人になって生きる気力な潰えそうな状況で断る言葉を発する気力もなく、私は家政婦の梅代さんに付き添われて信託銀行が用意した漆黒の大型車に乗車しました。
車は都内を走り抜け、田園地帯にある古くて巨大なお屋敷の前で止まりました。打ち合わせの部屋に案内されるや否や、私は血の気が引くほど恐ろしい形相をした男たちに取り囲まれました。
夫に巨額の債務があるので全ての財産を没収し、それでも足りないので私をこの屋敷に拘束して売春婦として働かせるというのです。私は支離滅裂であまりにも卑劣な話に驚愕し、足の力が抜けて震えが止まらなくなりました。
「芙美子ていうたな。なかなかベッピンやのう。体はどうやろなあ。服脱いで体見せんかい!」
喉元を冷や汗が伝い落ち、私は恐怖のあまり体が硬直して動けなくなりました。
別の男が「脱げて言うとるやろう。早うせんかい!」 と言って、剣道の竹刀で私の足元をバーンと叩き、恐怖をさらに掻き立てます。すると最初の男が「おい、商売もんに傷つけたら大損や。芙美子の代わりに隣のブサイクな女のケツにヤキ入れてやってくれ。」と言いました。別の二人が、手足をバタバタさせて抵抗する梅代さんを押さえ込み、スカートと下着をめくり上げて火のついたタバコを近づけました。
「ま、待ってください。梅代さんに手を出さないでください。私が脱ぎますから...」 私はヤクザたちに必死で嘆願しました。
この時点で、私は梅代が暴力団の仲間とは露ほども知らず、私を心配して同行してくれた梅代を、何があっても守らなければとの思いで必死でした。恐怖と恥辱に耐えながら、私は衣服を一枚ずつ落として行きました。
下着だけを残す姿になると、これ以上の恥辱に耐えられず、「お願いです。もうこれで許してください」 と男たちに泣きながら懇願しました。すると、先ほどの男が薄笑いを浮かべながら言いました。「この女、自分の立場がさっぱりわかってないみたいやな。誰か、手の空いてる淫売一人連れて来いや。この女に見せたるんや。」
※元投稿はこちら >>