――『読心』 【しほとご主人様編】――
しばらくの間、しほの手には奈々のリアルな反応が
感覚として残っていた。
その感覚を思い出す度に、あの日の光景を思い出しては、
自分で何度も何度もその感情を慰める日々が続いた。
日々の慌ただしく時間に追われる中、
段々とあの日の出来事が薄れてきた、1か月が過ぎた頃だった。
しほの予約の中にひろ様の名前があった・・・
しほは、あの日のことが一瞬で蘇り、もしかしてまたあの2人がご来店されるのかもと思い、心臓が止まりそうな程、ドキっとした。
しかし、予約表をよく見ると備考欄に男性と書かれていた。
このお店のルールとして、施術を受けられる方が男性の場合は備考欄にそれを記載するようになっていた。
それを見て安堵した反面、少し残念と思ってしまった自分がいた。
その感情を一瞬で吹き飛ばし、これは仕事と襟を正す。
ご予約日の朝、なぜか、しほは急にそわそわしていた。
昨日までは何とも思っていなかったのに…
当日の朝になって、あの日の出来事がずっと頭から離れないでいた。
そして、あの日の首謀者であるヒロ様がご来店されると思うと、今までは優しい紳士な方と思っていただけに、自分の中でどう接していいのか分からなかった。
でもそれは、自分の内面的な問題で、もちろんご来店されれば大切なお客様であることに変わりはない。
予約をされている15時の少し前にヒロ様がご来店された。
しほ
「いらっしゃいませ」
「ヒロ様お待ちしておりました。」
「本日もご予約頂きましてありがとうございます。」
ヒロ
「ちょうどこっちに出張で2泊3日で滞在してて、一件、アポが流れたから時間ができたんですよ。」
「ダメ元で予約したんだけど、運よく君も空いていてラッキーでした。」
「最近忙しくて、ずっと体のメンテナンスできてなかったから」
しほ
「それはありがとうございます。最近はコロナに影響もまだあって、以前ほど、
ご予約で埋まっているということも減っていますので、こちらにご出張の際は毎回ご予約を承れますよ。」
しほは、少しいたずらっぽい表情でおどけたように言った。
しほ
「本日は、温石アロマオイル整体の180分のスペシャルコースのご予約ありがとございます。」
「コロナの影響受けているので、本当に有難いです」
このお店で最長の180分の心身ともに心ゆくまでリフレッシュして頂くスペシャルコースだ。
ヒロ
「こちらこそ有難いよ。都内のお店では、いつも君は指名でいっぱい状態で、このスペシャルコースは受け付けてなかったからね。」
「本当にラッキーですよ」
しほ
「はい。ありがとうございます。それでは紙パンツに履き替えて頂き、施術台の上でお待ちください」
「こちらも準備が整いましたら、またお声がけさせて頂きます」
しほは一旦、部屋の外に出て準備を始める。
しほは内心ではドキドキしていた。
でも、あの日の出来事にはお互いに触れなかった。
まるで何事もなかったように、お互い、いつもと同じように接していた。
でも、優しそうなあの紳士が
あの日の首謀者であり、あんな清楚で大人しい奈々さんに羞恥プレイをさせた張本人。
やはり、以前のようには見ることができなくなっていた。
変に意識しないようと必死に平常心になろうと思うが、心がザワついていた。
トントン・・・
しほ
「お着替えは終わられましたでしょうか?」
ヒロ
「済んでます」
スゥッ~
しほは大きく深呼吸をして、気持ちを引き締め部屋に入る。
しほ
「失礼します。」
「それでは施術を初めていきます。」
「施術台にうつ伏せに寝てください。」
ヒロ
「ごめん。仕事でトラブってるみたいで、電話かメールで連絡くるかもしれないから、施術しながら対応するから今日は仰向けからでも良いですか?」
しほ
「それは構いませんよ。メニューは同じなので、前からでも問題ないですよ」
ヒロは申し訳なさそうに、スマホを持って施術台に仰向けに寝た。
しほは手際よく、ヒロの体に大きい施術用のタオルを何枚か使用し体を全部覆った。
しほ
「それでは、左足から施術してまいります。反対側の足には温石を乗せていきますね。」
いつものように手際よく、アロマオイルを素肌にしっかりと塗り込んでいくように施術を始める。
男の肌の上を、滑らかな手つきで施術が行われる。
しほは無言で、今日のヒロの体の状態を確認していた。
どこが凝っていて、どこが張っているか、施術の強さは問題ないか、様々な情報を手のひらから感じ取っていた。
しばらく、無言の時間が流れた。
ヒロ
「そう言えば、この間は申し訳なかったね。」
「連れが酔っ払ってたみたいで、色々迷惑をかけてすまなかった。」
突然の前回の話を切り出した。
しほは一瞬、ドキっとして手の動きが止まりかけた。
しほ
「いえいえ、お酒の失敗は誰にでもありますので、お気になさらないでください」
その話題を深掘りされるのではないかとドキドキしながら答えた。
でもそれ以上、ヒロはその話題に触れてこなかった。
そして、再び沈黙の時間が流れる・・・。
いつもなら状態をある程度把握した後、世間話などの会話をするが、今日はヒロがお疲れなのか、目を瞑って大人しく施術を受けていた。
それを察知して、しほも自分からは話さないように施術に専念していた。
そして、左の内ももや股関節付近を施術している時のことだった。
ヒロの股間の上に被せているタオルが一瞬浮いたように見えた・・・
しほは咄嗟に、目視で状況を確認する。
するとタオルがムクムクと一気にな盛り上がっていく・・・
えっ、ぅ、うそ・・・
しほはドキッとした。
男性のお客様を施術中に、鼠径部などを刺激された時に勃起されてしまう方もいらっしゃる。
本人も恥ずかしいでしょうし、こちらも男性の生理現象と捉え、
そういう場合は、際どい部分からさり気なく離れた場所の施術に切り替え、様子を伺う。
しほもいつもと同じように、内ももの付け根辺りを施術していたが、一旦、太ももから脹脛辺りまで
自然な流れで降下していき様子を見る。
でも、通常はあまり気にかけないようにしているが
前回のこともあるだけに、ヒロ様がこんな状態になったことで一気にしほの体に緊張が走る。
しほの心の中
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「いやだぁ、ずっと担当しているけど、ヒロ様のこんなこと初めて。」
「えぇ、どうしよう。どんどん大きくなってる。」
「前回の話したら、思い出してしまったのかしら・・・」
「どうしよう・・・」
「・・・・。」
「・・・・。」
「それにしても・・・すっ、すごい大きい・・・・」
「えぇ、タオルがすごい上に盛りあがってる・・・」
「す、すごいビンビンに勃起してる・・」
「噓でしょ・・・。」
「もう早く鎮まって」
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しほは平静を装いながらも、勃起具合をさり気なく確認していた。
ふくらはぎ部分の施術を続けており、太もも部分に戻るか迷っていた。
でも一向に勃起が収まる気配がない・・・
しほは、妙にドキドキし緊張していた。
いつも優しい紳士の初めて垣間見る雄の部分・・・
しかも、股間部分に逞しくテントを張る迫力。
顔を真っ赤にしながら、平静を装い施術を続けるが、ずっと収まらない・・・
しほ
「ごめんなさい。少し受付の方で予約の確認して参りますまね」
ヒロの勃起が全然収まらないので、しほは少し間を空けた方が良いと思い、この場から離れる選択をした。
一旦、肌から手を放し、タオルで手を拭こうとした時だった。
ヒロ
「もっと鼠径部の辺りを重点的に施術してください。」
しほはドキっとして、動きを止めヒロの方を見る。
しほ
「いやぁ・・その・・・」
チラッと、雄雄しくテントを張る股間を見て、恥ずかしそうに目で訴える。
ヒロ
「力加減の強弱や重点的に施術してほしい箇所、要望していいんじゃなかったですか?」
ヒロは至って真剣な表情で冷静に言った。
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