そんな偽手紙を彼らが信用してくれるのかは当然自信ありませんでした。妻の様子を伺っても変化は見受けられませんでした。
その頃は益々妻とも気まずい日が続いていましたが食事も一人で外食するようになりました。勿論洗濯もしてくれません。
偶然立ち寄った居酒屋で山本を見つけました。向こうは私の顔は知りません。近くの席で耳をすますと友里恵の話で盛り上がっていました。
若い従業員や悪友など総勢8名の男達の酒の肴にされているようで少しは気が晴れました。
妻の両親が生存中は不動産の会社もあり経理士や弁護士とも契約していました。妻が引き継いでからはそれも解除してインターネットで妻自ら確定申告しているようです。
そんな妻から弁護士に連絡があったそうです。離婚の話だそうです。小野と言う弁護士を紹介してくれたのは経理を頼んでいた黒沢です。
それで久しぶりに3人で集まりました。
勿論妻に有利な離婚の相談でした。向こうから離婚を申し出ると慰謝料が高く付くのを恐れているようなんです。
経理の黒沢とは実はsmのラウンジで知り合いました。狡猾で銀縁の眼鏡から好色そうな目を覗かせています。
160センチに満たない小柄な男ですが自分より長身の友里恵に対して下心を見透かされたのか契約を打ち切られました。
もっとも本人に友里恵を口説く勇気があったとは」思えませんが。
それに対して小野は体格も良く脂ぎった頭の禿げ上がった如何にも好色そうな中年男性です。只仕事は出来ます。それで友里恵もこの男に頼ったのでしょう。
「社長はアパートを一つ専務の名義に代えて慰謝料の替わりに出来ないか、そう言ってるんだ。」
千波に以前は妻が社長、私が専務と呼ばれていました。
「どこだ?そのアパート。」
妻の両親は所謂土地成金でした。初めて建築した小さな古いアパート。50坪もないでしょう。3階建てですが各会3部屋で合計9部屋しかありません。
建て替えかリホームする必要があります。
近いので見に行きました。今は誰も住んでいません。
「向かいの会社の従業員が借りていたんだがつい最近出て行って貰ったんだ。」
「お前が追い出したのか?」
「ああ、社長に頼まれてね、何せ、向かいの会社は、、、」
片側一車線の道の向こう側は偶然にもあの山本建設でした。
「柄の悪い人達だからって頼まれ乱ですよ。専務には任せられないって」
住居も近くだそうですがアパートよりもやや広い土地の一かいが仕事場があります。二階と三階が事務所のようです。
階段でアパートの3階の6畳一間のかび臭い薄汚れた部屋に入りました。カーテンも無い窓からは向かいの事務所が丸見えです。
このアパートに友里恵を素っ裸で監禁したらどんなに痛快だろう。カーテンも無ければ勿論ガスも水道も電気もない。
トイレに行っても流す水も無い。そんな妄想が頭に浮かんできます。
そして二人に自分のしていることを話し出しました。やがて二人から言い返事が貰えました。
勿論褒美の友里恵の体目当てなのは明白です。
私より二人の方が友里恵の財産に精通していました。
「この安っぽいアパートだけは友里恵に残しておいてやろうじゃないか。こうなったら友里恵の前の毛だけじゃなく尻の毛まで毟り取ってやろうじゃありませんか?」
小野が言いました。そして新たな作戦を練ったのでした。
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