小田義雄の休日は、単身赴任故にいつも変わり映えのしないものだった。
その日も、遅めの朝食を済ませ、録画してあった番組を見ようとして、ふいに、
「あっ、しまった。」
休み明けの部長報告会の資料に漏れがある事を思い出した。
休み前に報告書は完成していたが、終業時間ギリギリに成約の連絡が入ったのを付け加えるのを忘れていたのだ。
「仕方ないな、どうせ暇だし、資料修正に会社へ行くか。」
基本的に休日出勤は禁止されていたが、課長には手当もつかないし、それ程大した作業でも無いので、早く終わらせて長居はせずに直ぐに帰ろうと思ってマンションを出た。
途中でランチを済ませて、会社に出勤すると、営業部のフロアから明かりが漏れていた。
「あれっ、どうしたんだ、誰かいるのかな。」
誰かに見つかると休日出勤がバレてしまうので、そっとフロアに近付き、中の様子を見てみる事にした。
やはり、人影が見えた。
廊下の陰から中を覗いて、愕然とした。
裸の女性がいるではないか。
それが、山本久美子だという事は直ぐに分かった。
「ど、どうして裸なんだ。それにしてもいい身体してるな。」
日頃の恨み節は忘れて、久美子の裸体にすっかり見惚れてしまっていた。
ハッと我に返り、スマホを取り出すと裸の久美子に向けた。
画面越しに見事なプロポーションが映える。
「まさか、休みにこんな事してたとはな、これは面白くなってきたぞ。」
義雄は、デスクや棚に隠れながら、フロアの中に入って行った。
久美子が何やら喋っていたのも聞き取れる所まで近寄ってきた。
『俺のデスクじゃないか』
「小田課長、どう?私の身体。もう女性の裸なんて何年も見てないでしょ。所詮貴方は田舎に居れば良かったのよ。私に追い抜かれて悔しい?ふふふ。」
『な、何だと。』
義雄の耳に、久美子の言葉が入ってくる。
『そんな事を言ってられるのも今の内だぞ。』
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