「小田さん、ちょっと来て。」
久美子が会議室の方に手招きをする。
営業の皆んなは帰って行ったが、向こうの方にはまだ人影が見える。
「ここでもいいじゃないですか。何ですか?」
義雄がしらばっくれて席に座ったままでいると、
「いいから来て。」
久美子にもまだ少しは強気のところが残っている様で、先に会議室に入って行った。
義雄も渋々席を立ち、会議室に入るとドアを閉めた。
「あれは何なの?どう言うつもり?」
義雄が席に着く前に、久美子が言葉を発した。
「あれって何ですか?」
義雄は惚けながら席に着いた。
「ふざけないでよ、私に送ってきた動画の事よ。」
「ああ、ご覧になったんですね。」
漸く、わざとらしく義雄も気付いた感じで、
「よく撮れてたでしょ、隠れて撮るの苦労したんですよ。最も、部長はすっかり周りが見えてなかったみたいですけどね。あれにはまだ続きがあるんですよ。」
義雄が久美子に送った動画は、途中までで切れていた。
「つ、続きって…。」
久美子の頭の中に、昨日の自分の行動が蘇る。決して誰にも知られたくない秘密、それが、義雄に見られていたなんて、それも動画まで撮られてしまって。
久美子は、目の前が真っ暗になった。
義雄は、久美子の絶望に満ちた表情を感じ取ると、
「見ますか?」
そう言って、自分のスマホをポケットから取り出し久美子に向けて動画を再生し始めた。
義雄や今日子のデスクでの痴態や暴言、その後の移動しての久美子の行動や、
『ああ、グチョグチョまんこ見て!凄いでしょ、もうこんなにグチョグチョよ。あ、ああ、い、良いわっ、いいの、皆んなにおまんこ見られてこんなに喜んでるのよ。』そんな言葉が、会議室に響き渡る。
「や、やめて、わ、わかったから、何が目的なの、お金なら何とかするから。」
久美子は、テーブルに両手をついて項垂れてしまった。
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