古村が布団の上で胡坐座りをしていた。
その古村の腰に跨るようにして、祖母の小柄な白い裸身が正面に向き合うよう
に密着している。
古村の少し引き締まり加減の肩に、祖母は白い両腕を預けるようにして、まる
で夢の中をたゆたっているかのような陶酔の表情で、時折、短い声で喘いだり、
深い息を吐いたりしていた。
窓の外にいる僕にはよく見えなかったが、二人の身体は下のほうで、列車の連
結器のようにしっかりと繋がっているようだった。
古村の腰が動くたびに、祖母は喘ぎ、熱の籠ったような吐息を洩らすのだった。
「身体大丈夫か?」
どうにか聞こえたその声で、優しい古村に戻っているのがわかった。
祖母はかたちよく輪郭のはっきりとした唇から、白い歯を覗かせてこっくりと
頷くだけだった。
「いい絵柄だな。写真に撮りたいくらいだ」
僕のほうが気がつかなかったのだが、古村の顔の正面の壁に寄添うように、吉
野の白髪が見えた。
「あ、僕は独身だから構わんですよ。君もいいよな?」
まるで恋人気取りのような古村の声に、祖母は小さく首を項垂れさせた。
吉野が嬉しそうな顔をして、二人にスマホを翳していた。
スマホのボタンを何回も押している吉野を、僕はひどく羨ましい気持ちで観て
いた。
やがて古村と祖母の身体は、重なり合ったまま布団に横たわった。
「この人となら何時間でもくっついてられるんだけどな…」
未練がましそうにいいながら、古村は祖母の白い足を割って、腰を密着させて
いた。
「ああっ…」
祖母が細い首を大きくのけ反らせて、咆哮に近い高い声を挙げた。
アダルトビデオなんかでは、絶対に味わえない、大人の男女の生々しい絡みを
目の当たりにして、単純明快な僕の下半身は、今夜で何度目かわからないくらい
の勃起状態に襲われ、気が触れそうになるくらいの気持ちになっていた。
祖母の白い身体が鮎のように、跳ね震えていうのが見えた。
古村の大人の身体を、僕はひどく羨ましく思った。
耳に容赦なく、祖母の熱い喘ぎと、男に激しく呼応し、あられもない悶えの声
がこれでもか、これでもかと聞こえてくる。
そして、後五分も続いたら自分の下半身が、ダイナマイトのように爆発すると
いうところで、祖母の今夜一番と思える雄叫びと咆哮を入れ混じらせたような絶
頂の声を聞かされて、僕の嵐のような真夏の夜は過ぎた…。
続く
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