…状態を脱していた。
大きな窓の外の山々の深い闇に目を向けながら、僕は身体の下から徐々に湧き上がってきて
いる昂まりの渦に浸っていた。
僕の身体の下で、祖母は一心不乱というか、ひたすらにというのか、行為を続けていた。
あるところで僕は祖母の両腕を掴み上げ、一緒に湯船に浸かった。
僕のものは湯の中でも上に向けて直立していた。
その上に祖母の身体を誘い、照準を合わせるようにして、下からゆっくりと突き刺していった。
僕の真正面で、祖母の汗の滲み出た顔が切なげに歪み、左右に揺れ動いた。
「疲れてないか?」
祖母の細い両肩を抱いて、気遣うように聞くと、切なげな表情のまま顔を横に振った。
実際をいうと、浴槽内でのこの行為は、僕にはそれほどの高揚感を齎してはくれなかったので、
僕はまた祖母の身体を動かせ、洗い場で最初の行為に戻した。
祖母は何の抗いの声も仕草もなく、ひたすらに僕に尽くす姿勢をつらぬき通した。
ふいに窓ガラスの外の黒い闇の中に、どうしてだったかわからなかったが、紀子の叔母の益美の
妖艶な顔、というかあの舞台俳優に抱かれて、激しく喘ぎ悶えている場面が、何の前触れもなく突
然に浮かび出てきた。
その場面が自分の印象に強く残っていたというものでもなく、自分からその記憶を手繰ったので
もない、突発的現象というしかない現れ出方だった。
祖母の口の中に埋没し続けているものに、勝手に益美の喘ぎ悶えている顔が、僕の知らぬ間に伝
播していた。
予期していなかった昂まりが、僕の全身を一気に襲ってきた。
僕の手が勝手に祖母の頭を掴み取りにいった。
止めようのないまま、僕の白濁の飛沫が、祖母の口の中で飛散した。
祖母が喉を詰まらせたように、短い声を挙げて呻いた。
えづくような呻き声は二度ほど続いた。
ああ、こういうのもアダルトビデオで観たことあったな、僕は何げに思い出していた。
寝る時、祖母は和室の布団がいいというのでそうした。
やはり祖母は疲れていたのか、僕の胸に顔を載せたまま、満足と安堵を入り混じらせ
た表情で深い眠りに堕ちていった。
あくる日の中禅寺湖遊覧もいろは坂観光でも、祖母はまるで女学生に戻ったようには
しゃぎ、笑って、僕との観光旅行を満喫し堪能しきって、たくさんの土産物を僕に持た
せて家に帰り着いた。
祖母が奥多摩に帰ったのは翌日の朝だった。
それから二日後の午後、僕のスマホに国語教師の沢村俶子から、「緊急」と題された
メールが入ってきた…。
続く
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