…湯川の手練手管は巧みだった。
布団の上で法衣のすべてを脱がされた私は、彼のそれまでの経験を踏まえたよう
な巧みな手捌きや指捌きと、身体全部がとろけてしまうような舌の愛撫に、私は竹
野との時にも体験したことのない愉悦感に溺れ浸ってしまったのだ。
「ああっ…も、もうだめっ」
「あっ…あなたが好きっ」
「も、もっと滅茶苦茶にしてっ」
そのほかに、あまり口にしたことのないような淫語を、私のほうから口に出した
りして、野川君のほうはただ唖然呆然とするだけで、竹野は私のこれまでになかった
ような狂態ぶりに、白けたような心配げな表情で、身体も動かせなくなっているよう
だった。
仰向けでつらぬかれている時でも、四つん這いにされてつらぬきを受けている時も、
全部が私を本当に狂い死にさせそうなくらいの快感だったのだ。
これまでの男性との体験でも、一度も味わったことのない、正しくめくるめくよう
な愉悦感だった。
湯川の下腹部の屹立したものの、竿の部分には二個の真珠の玉が埋められていた。
私の耳元で、湯川はそのことを少し恥ずかしげな笑みを浮かべていった。
「あ、あなたと毎日、一緒に暮らしたい…」
湯川に私はそういったのだが、嘘の気持ちではなかった。
本当にもう後五分でも長く責められたら、間違いなく私は死んでいたかも知れない
というところで湯川も、ようやく果て終えてくれ、私はその時には布団の上で意識を
喪失させてしまっていたのだった。
どれくらいの時間、自分は気絶していたのかわからなかった。
布団で目を覚ますと、三人の男たちは居間の座卓で、酒かビールを酌み交わし談笑
に耽っていた。
「じゃ、私たち二人もここで泊めてもらおうか」
という湯川の声が、ぼんやりとした私の耳に聞こえた。
「ぜひ、泊まっていってください。今からが野川さんのオールタイムの時間だ。積も
る話もゆっくりしてくださいね」
竹野の声だ。
私が湯川に抱かれのたうち廻っていた時の、不機嫌そうな表情はどこにもないようだ
った。
私が湯川に抱かれ悶え狂った布団に、野川君と寝ることになり、湯川と竹野の二人は
別の間で休むということになったようだ。
どういう目をして、最初に野川君に接したらいいのかを、まだ全身に気だるさの残る
身体をくねらせながら、私は悄然と考えていた…。
続く
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