リビングルームのテーブルの椅子を横に向けて、僕は両足を開いて座り込んでいた。
僕の開いた足の前に、生理用のショーツ一枚だけの俶子が膝まづいていた。
僕のジーンズとトランクスが、椅子の横に丸まっている。
俶子が脱がした。
俶子の眼鏡の顔が、僕の股間に顔を埋めてきていて、突き立つように怒張した僕の
ものを、口の中深くまで呑み込んで、唇を窄め、化粧の濃い顔を忙しなげに動かせて
いた。
手を俶子の乳房に差し向けて、ちぎり取るように強く揉みしだいてやると、彼女は
口を窄めたまま、低い呻き声を幾度も漏らすのだが、そこから身体をずらして逃げよ
うとかの素振りはついど、窺い見えなかった。
これがほんとのマゾ女なのかと、僕は内心で感嘆していた。
学校の教室で国語教師として、澄ましたような声で生徒に、万葉集がどうとか、樋
口一葉の「たけくらべ」の能書きを講義しているとは、とても思えない淫猥さが、逆
に僕のほうの、どこかに隠れ潜んでいる嗜虐心を呼び覚まし、気持ちをあらぬ方向へ
導き、高揚させてくる。
僕より一回り以上も年上で、飛び抜けた美人顔でもなく、化粧の濃い女という印象
だけの俶子だが、彼女の身体と心に潜む被虐性を、、この一日二日で喝破できたのは、
間違いなく奥多摩の夏休みだと、僕は改めて確信した。
「そろそろベッドへ行こうか?」
僕への奉仕の作業を熱心に続けていた、俶子の頭に手を置いて、僕は彼女に告げた。
俶子は従順に僕の言葉に従い、自分から先に寝室に向かった。
テーブルの上の、アイスコーヒーの入ったガラスコップの、水滴が大きくなってい
て、俶子の僕への奉仕の時間の長さが窺い知れた。
ベッドのある室にいくと、俶子がシーツの上に、バスタオルを二枚ほど重ねて敷いて
いた。
「こ、こんな事…初めて」
「俺も初めてだよ」
ベッドに並んで身を横たえて、目と目を合わすと俶子の表情は、羞恥と狼狽の入り混
じったような複雑な顔になったいた。
このことのいい出しっぺの僕のほうも、多分、俶子と同じ表情だったと思う。
「早くしろよ」
心の中の卑猥な高揚を隠して、俶子を促すと、
「ほ、ほんとに恥ずかしいのよ」
といいながら、彼女は両手をショーツに添えていった。
「嫌なら帰る」
僕がダメ押しでいうと、
「意地悪…」
そういって俶子は、ショーツを脱ぎ下ろした。
現れ出た漆黒の茂みの下に、薄い水色の長方形の紙のようなものが見えた。
ナプキンだというのは、僕にもわかった。
「俺が取る」
と短くいって、僕は身体を下にずらし、恐る恐るの思いでナプキンに手をかけた。
僕が生唾を槌むようにして、剥がすようにナプキンを捲るのと、
「あ、ああっ…は、恥ずかしいっ」
と漏らした俶子の声が、ほぼ同時だった。
赤い血が小さな塊りと線状に付着していて、血ではない黄色い斑点のような沁み
が、捲ったナプキンの表面を汚く汚していた。
血の沁みたナプキンから、酢のような酸っぱい匂いが鼻をついてきていた。
「き、汚いでしょ?…も、もういい?」
恥ずかしさを満面に浮かべていう俶子に、
「ここへぶち込みたい」
と僕は返していった。
「よ、汚れるわよ」
「お前が奇麗に拭いてくれたらいい」
そういって、僕はもう俶子の両足を抱えていた。
「ああっ…」
俶子の足と足の間で、僕が腰を前に進めると、濡れて柔らかい感触が最初にあり、何か
温かいゼリーの中に刺し込んだような感覚が次にきた。
無論、高校生の僕には初めての体験だったが、俶子のほうがすごく感じているようで、
悶えか喘ぎかわからない声を間断なく挙げ続け、上気した顔を左右に激しくうち振るって
いた。
「い、いいわ…と、とても感じるっ」
「お、俺も…」
「も、もっと突いてっ…ね、もっと」
ねっとりとした血の沼のような感触があったような気がするが、若い僕のほうに早くも
限界が来そうな感じだった。
「ああっ…と、俶子っ…」
血の沼の中に僕の白濁が、勢いよく飛散した。
僕の二の腕を強く掴み取っていた、俶子の手にも力がさらに込められ、指先の爪が喰い
込んできているようだったが、その痛みすらわからないほど、僕は昂待ってしまていた。
俶子の身体の上に、僕は沈み込むように倒れた。
「こんなの初めてだ…」
そういうのがやっとだった。
俶子のほうは、年上らしく優しくいたわるような声で、
「私もよかったわ。…あなたが悦んでくれるなら、私、何でもできる」
そういって、僕の首に両腕を廻してしがみついてきた。
まだ息の荒さが止まっていない僕の頭の中に、奥多摩の祖母の小さな顔がちらりと浮か
んだ…。
続く
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