朝の早い時刻だったと思う。
僕の横で寝ていた祖母の起きる気配で、僕のまだ眠たい目が嫌々な感じで薄目
になった。
同時に僕の鼻孔を、昨夜、散々に浸りきった、女性の温かで香しい匂いがくす
ぐってきた。
「まだ早いから、寝てていいわよ」
気持ちのいい息と一緒に、祖母の優しげな声が、僕の頬や口の辺りを撫でつけ
るように聞こえてきた、
寝巻の襟を直しながら、祖母はもう布団の上に上体を起こしていた。
寝ぼけ眼のまま、僕は手探りで祖母の手を空中で探し求めた。
木の小枝のように細い、祖母の手首を掴み取った僕が、そのまま手前に引き寄
せると、祖母の小さな身体はすぐにバランスを崩し、寝転んでいる僕の顔の傍に
近づいた。
「こら、何するの」
と優しい目で僕を睨みつけながらいって、自力で起き上がろうとする祖母の唇
に、自分の唇を強引に重ねにいった。
僕の腕の中で小さく藻槌こうとする祖母だったが、その小さな抵抗はすぐに止
んだ。
祖母の歯が自然に開いて、僕の舌の侵入を許諾するような、柔らかな息を鼻先
から吐いてきていた。
若い僕の下半身のエンジンは、祖母の身体の臭いを鼻孔に感じた時から、フル
スロットル手前になっていた。
直したばかりの祖母の寝巻の襟の中に、僕は意識的に少し荒々しく片手を突っ
込んでいた。
「あ、あんっ…もう」
唇が離れた時、祖母はもう一度僕を睨みつけてきたが、襟の中の乳房の右側を
一気にわし掴んでやると、
「あ…だ、だめっ」
と急に狼狽えたような声を漏らし、無駄に身体を捩じらせてきた。
マセガキと祖母にいわれた僕の頭の中に、一つの作戦が浮かんでいた。
祖母の身体の抵抗力は、見る間に衰退の一途を辿っていっているのが、責めて
いる僕にはわかり過ぎるほどわかった。
祖母の、白地に濃紺の花柄模様の入った寝巻は、ほとんど無抵抗の上体で身体
から剥がされ、布団の横の畳に散らかった。
僕は当然に素っ裸になっていた。
身体の向きを逆にして、祖母を布団に仰向けにし、僕が祖母の身体を跨ぐよう
にして、自分の膝で祖母の両脇を挟み込む態勢をとった。
必然的に、僕の下腹部は、祖母の小さな顔のすぐ前に近づいた。
上から見下ろすと、祖母の顔に一層の狼狽と、戸惑いの表情が浮かび出ている
のが見えた。
構わずに僕は自分の屹立したものの舳先を、祖母の狼狽えている顔に当ててい
った。
祖母の唇の皮膚の感触を、僕の固く屹立したものの舳先の先端に、微量の電流
のように伝わってきた。
目を深く閉じた代わりに、祖母のかたちのいい唇が静かに開いた。
数センチほど、僕は自分の腰を前に出すと、祖母の開いた口の中に滑り込むよ
うに入った。
柔らかい熱風と滴りのような感触が、僕の屹立全体を優しく潤すように包み込
んできて、それだけでもう、経験の浅すぎる僕はフルスロットルどころか、あわ
や暴発の危険に晒されたのだった。
下のほうで、祖母の色白で小ぶりの顔が、ゆっくりと小刻みに動き出してきた。
必死の思いで、僕は自身の暴発に堪えた。
やがて若い僕に忍耐の限界が見え始めた。
目的の一つが完遂寸前だが、実はもう一つの作戦もあった。
このままの状態では、次の作戦の実行到達は不可能になると思い、断を下して
僕は祖母の優しく温かい口から、自分の意志で離れた。
休んでいる余裕は、僕にはなかった。
自分の手で祖母の身体を布団から起こして、僕がまた布団に仰向けになった。
狼狽の表情をまだ残す祖母の身体を、自分の腰の上に跨らせた。
祖母の下腹部の、薄くなったままの繊毛の下辺りに、僕はどうにか暴発を堪え、
屹立状態を保っている自分のものを突き当てた。
老練な祖母にはもう、マセガキの僕の狙いはお見通しのようだった。
上から僕の顔を怒ったように睨みつけてきた。
これはいや、という表情をあからさまに見せて、僕に哀訴するような視線をぶ
つけてきていた。
卑猥な欲望達成に、焦るばかりの僕に容赦はなかった。
祖母の下腹部の薄い繊毛の下に、僕の固いままの屹立は、ゆっくりと深く沈み
込んだ。
「ああっ…は、恥ずかしいっ」
僕に突き刺された祖母は、一際高い咆哮の声を挙げ、華奢な全身を前後に激し
く揺らせ身悶えた。
「ゆ、雄ちゃんっ…み、見ないで、そ、そんな目で…ああっ」
僕が祖母をどんな目で見ていたのか、自分ではよくわからなかったが、祖母の
声と身体の乱れようは、僕自身を驚かせるには充分な刺激だった。
暫くは僕の腰に、全体重を置いているだけだった祖母の身体が、僕からの作用
ではなく、自分で自分の身体を、上下に動かせてきていることを僕は知った。
「淫乱な奴…」
自分でも思っていなかった言葉を、僕は祖母に投げつけていた。
「ああっ…ゆ、雄ちゃん、ご、ごめんなさい」
祖母の思わぬ狂態を見たからか、自分が自分でなくなったかのように、僕の心
の中に、まるで予期も予想もしていなかった、嗜虐の炎がめらめらと燃え上って
きていることに気づき、僕は少し愕然とした思いになっていた。
下にいる僕のほうから、祖母の細身の身体を強く突き上げ、
「いいか、今からは僕、いや俺のことを雄ちゃんなんて呼ぶなっ」
とまたしても、自分では思いついていない言葉を吐いた。
「は、はい…」
悶えの声を絶え間なく吐き続けながら、娘のようにしおらしく従順な声で応諾
の返答をしてきた。
どこからだったのか、何かのきっかけがあったのか、わからないまま、自分が
完全に自分でなくなっていることに、僕はぼんやりとだが気づいていたが、自分
から修復しようという気持ちは、何故かこの時にはなかった。
「気持ちいいのか?お前」
「は、はい…とても…とてもいいですっ」
自分で自分の腰を上下させながら、祖母は自分の手を使って、自分の乳房をわ
し掴み激しく揉み込んでいた。
祖母の目もどこに視線を向けているのか、わからないくらいに茫漠と夢見心地
になっているようだった。
朝方のふとした悪戯心の抱擁から、こんな狂悦の事態に陥ることは、僕も祖母
もまるで考えてもいなかったと思う。
祖母は熟した大人だが、僕はまだ成人まで数年もある少年そのものなのに、一
体どういうことなのか、当事者である自分がわかっていないのだから、始末が悪
いといえば悪かった。
どこかで覚めるまで、流れに任せるしかないと、僕はそう断じて、さらに祖母
を責め立てようと考えていた。
「ああっ…いいっ…ほ、ほんとに死にそう」
自らの腰の淫靡な動きで、祖母の昂まりが増幅を大きくしてきているようだっ
た。
「お、俺より先に逝くのか?」
全くの別人格者になった僕が、下から詰るような声でいって、朦朧としかけて
いる祖母の目を睨みつけた。
「ああ…ご、ごめんなさい。ゆ、ゆう…いえ、雄一さん」
「ふん、お前みたいな淫売か、売女に、名前呼ばれてもなぁ、ちっとも嬉しく
はないな」
いいながら、自分のどこにこれだけの素養があったのか、と僕は思っていた。
そのことはここでは考えないことにした。
今日と明日の二日間、祖母を思いきり甚振ってみようと、悪魔になった僕は、
祖母の身体を下から激しくつらぬきながら、心の中で冷徹な笑みを浮かべて密
かに目論んでいた。
続く
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