女性店員
「いらっしゃいませ・・・」
20代後半ぐらいの女性が、首輪をされてリードを引かれる奈々の姿が目に入り、
一瞬、煙たがるような表情を浮かべた。
この鍵屋さんは、鍵屋と革製品の修理を行っている小さいお店で、店内にはレジの横に椅子が幾つか設置され、すでにスペアキー作成で待っている60代男性、革カバンの修理を待っている40代男性と30代の女性が座っていた。
全員、ご主人様と奈々を一瞬見て、視線を逸らしたもののチラチラと2人の様子を伺っていた。
奈々は、外とは違い、この狭い店内の逃げ場のない空間に恐怖を感じた。
ご主人様の後ろに金魚の糞のようにくっつき、洋服の裾をギュッと握りしめ隠れるように身を縮めていた。
ご主人様はレジカウンターにいる女性店員に説明を始める。
ご主人様
「申し訳ないです。非常にお恥ずかしい話なのですが・・・」
奈々の方へチラッと視線を送り
「そういうプレイをしておりまして、下半身に装着した貞操帯の南京錠の鍵を失くしてしまって非常に困っているんです。」
「何とかなりますでしょうか?」
その場にいる全員が、聞き耳を立てているのが分かる・・・・
女性店員
「主人が今、鍵の救急サービスで外に出て行ってしまったので、別のスタッフに確認してきます」
「少々お待ちください。」
女性店員は丁寧な対応だったが、少し呆れたような表情を浮かべていた。
奈々は、この逃げ場のない状況にものすごい緊張をしていた。
女性店員
「お義父さん、お客様です。」
「和さん、今出ているので少し話をお客さんの話聞いて貰えませんか?」
男性店員
「これ終わったらいくよ」
女性店員
「そちらの椅子に座ってお待ちください。」
ご主人様も店内ではさすがにリードを引くことはなかった・・・
レジカウンターの横から壁際に沿って椅子が置かれ、カウンター横は既に待っているお客様で2つ横並びでの席が空いてなかったので、待っている人の前を通りすぎ、違う側面に設置される椅子に座った。
奈々は心からレジカウンターと同じ側面に座りたかったと思った。
横並びなら視界にあまり入らないが、違う側面に座るとお互いの視界に入ってしまう。
微妙な空気の沈黙が続く・・・・
しばらくする、店の奥から男性店員が出てきた。
男性店員
「どのお客さんですか?」
女性店員
「お義父さん、そちらのお2人さん」
男性店員
「どれどれ、どうしました?」
「お伺いしましょう」
60代くらいの職人気質の太って毛深い男性が現れた。
初めは目を丸くして驚いていたが、そこは大人な対応で、何も奈々には触れず、普通に接してきてくれた。
ご主人様
「本当にお恥ずかしい話なのですが、そういうプレイを愛好しておりまして、連れの下半身に装着した貞操帯の南京錠の鍵を失くしてしまいまして見てもらえませんか?」
「何とかなりますでしょうか?」
椅子に座って待っている人たちがチラチラこちらを気に掛ける中で、ご主人様はリードのチェーンを手に持ち、こういうプレイを愛好していると言った・・・
奈々はあまりの恥ずかしさに俯いた。
待っている人もガン見はしてこないが、さり気なくこちらを見ている。
男性店員
「ちょっと、どういう南京錠か見てみないとなんとも言えないけどね」
「南京錠であれば問題ないとは思うけどね」
ご主人様
「あ~良かったです。お手数ですが宜しくお願い致します。」
奈々は2人の会話がよく理解できていなかった。
そもそも、どうやって鍵を開けるのかも・・・
ご主人様
「奈々さん、何やっているんですか?」
「貞操帯をお見せしてください。」
奈々は一瞬、世界が全て止まった・・・
奈々
「えっ・・・。」
思わず絶句する。
男性店員
「どういう南京錠がついているか分からないことには、外せないんですよ」
奈々
「・・・・。」
奈々は俯きながら首を横に振るしかなかった。
コートの下は見せたくない・・・
絶対に見せられない・・・
ご主人様
「奈々さん、外してほしいければ、他のお客様もいるので早くしないと迷惑になりますよ」
「それともそのまま帰りますか?」
奈々は現実を受け入れられない・・・
ご主人様
「奈々さん、聞いていますか?」
奈々が動かず、ちょっとまごついている状態に不思議に思い
店内にいる人の視線が奈々に自然と向けられる・・・
その視線を感じ余計に動けない・・・
男性店員
「お嬢さん、こっちも仕事があるんでね。」
ご主人様
「どうしますか?これ以上は本当にご迷惑ですよ」
「帰りますよ。」
ご主人様は席を立ち上がった・・・
追い込まれる奈々は焦り、両手を顔を覆い
周りの視線が集まる中、コートの下半身部分を少しはだけ貞操帯を晒す・・・
奈々の体は一気に燃え上がるように熱くなる・・・
周りの人たちも目を丸くして驚いた。
清楚で可愛らしく、大人しそうな奈々が、下半身は貞操帯以外何もはいていないことに・・・
そして、女性はすぐに嫌悪の表情を浮かべ、まるで奈々を変態を見る目で見つめている。
男性店員
「おやおや・・・これは大変ですね。」
店員のおじさんは、奈々の状況を見て目のやり場に困った表情を浮かべる。
男性店員
「外すことはできると思いますが・・・問題は南京錠のサイズだね」
「みくさん、琢磨はどこにいった?」
女性店員
「今、鍵救急で外に出ていったばかりなの」
男性店員
「じゃあ、私が頑張るしかないね」
奈々たちの方を向き、
男性店員
「何分、歳食っているもんで、老眼が進んでいてね。」
「細かい作業は時間がかかってしまうんでね。」
「でも、作りは簡単なので外せることは間違いないですよ」
「やってみましょう。」
ご主人様
「外して頂けるだけで有難いです」
「もういくらでも請求してください。」
男性店員
「頑張ってみますよ」
「今工具をもってくるからちょっと待っててください。」
奈々は急いで、コートを閉じ合わせた・・・
もう本当に消えたくて、消えたくて堪らなかった。
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