俊樹は、気になってる事を美紀に聞いてみた。
「あの~、今日、役員会があるって由紀子から聞いたんですけど。」
「ええ、そうよ。」
「あっ、やっぱり。その間、私はどうすればいいんでしょうか。」
「何言ってるのよ。トシも出るに決まってるじゃない。」
「えっ、でも、今日は、由紀子も出席するって言ってたし。」
「だからね、これを用意したの。」
美紀は、俊樹に目と鼻と口が開いてる覆面を取り出して見せた。
「えっ、そ、それを被って!」
俊樹は、覆面だけでは、きっと由紀子にバレてしまうと思い難色を示している。
「大丈夫よ。由紀子さんだって、まさかトシが覆面被って出て来るなんて思ってないわよ。接待ゴルフに行ってると思ってるわよ。ただ、トシの態度次第ではバレちゃうかもしれないから気を付けるのよ。声が一番危険ね。」
「で、でも、参加して何をするんですか?」
「前回の役員会で、トシの正体がバレちゃったでしょ。そしたら、あれから役員の奥様達から、次はいつ役員会があるのって問い合わせが沢山きちゃって。奥様達も、役員会以外には口止めされてるので、欲求不満気味になってるのよ。でも、毎回、由紀子さんが不参加ってのもおかしいでしょ。なので、由紀子さんにも、変質者が見つかった事を知らせようという事にしたの。」
「えっ、ゆ、由紀子に。」
「ただ、顔を明かしてしまうとトシだって困るでしょうから、顔は隠して、みんなの前で謝ってもらう事にするから。役員の奥様達も由紀子さんの前では、知らなかったという事にするから、そのつもりで振る舞うのよ。」
俊樹は、もう、断ることなんてできないと思った。いかに由紀子にバレないように普段は由紀子の前ではしないような振る舞いをして、疑われないようにしなければならないと思った。
「もちろん、他の奥様達は、覆面の中身を知っているので、奥様達に逆らったりしたらバラされてしまうかもしれないからそれも気を付けてね。」
「は、はい。わかりました。」
俊樹は、素直に返事するしかなかった。
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