俊樹と由紀子が夜の食事をしながら会話している。
「今度の土曜日に、自治会の役員会があるって美紀さんから連絡がきて、あなたが前回にみんなを盛り上げたからって一緒にどうって言われたんだけど、どうする?」
「えっ、またやるの。」
「ここの奥様達は専業主婦が多いから、暇なのよ。役員会って言ったって、井戸端会議の様なものだから。」
「澤村さんから連絡が来たって言ったけど、それって澤村さんも出席するんだよな。」
「当たり前よ、美紀さん、会長だもの、出席するに決まってるじゃない。」
『美紀さんから呼び出されてるんでしょ、どうするのかしら、うふふ。』
「そ、そうだよな。」
『よびだしされてるのに、役員会の間、どうするつもりなんだろう』
俊樹は、困惑するのを悟られないように、
「あ、でも、土曜日は接待ゴルフなんだ。朝早くから出て行かないといけないから無理だな。」
「あら、そんな事言ってた?はじめて聞いたわよ。」
『美紀さんに言われた通りの事を言うのね。』
「あ、ごめんごめん、俺も気が進まなかったから言うの忘れてて、今、思い出したんだ。」
「気が進まなかったら、無理に行く事ないのに、あなたも大変ね。わかったわ、皆さんには、私が欠席したお詫びと、あなたが失礼な事をしなかったか聞いておくわ。」
「あ、いや、別にこの前の事は、どうでもいいよ。」
『下手に聞いて、誰かが口を滑らせたりしたら大変な事になってしまうよ。』
『うふふふ、こっちはあなたのした事はお見通しなのよ。』
「なに、狼狽えてんのよ。まさか、裸踊りしたわけでもないんでしょ。」
「あ、当たり前じゃないか。そ、そんな事する訳ないじゃないか。」
俊樹は声を荒げ、むきになる。
「冗談よ、そんなにむきにならないで。わかったから、せいぜい取引先のご機嫌とってきてね。」
由紀子は、俊樹にわからないように舌を出した。
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