真田由紀子と澤村美紀はランチをしながらお互いの旦那の愚痴を話していた。
「美紀さんのご主人、単身赴任は長いの?」
「まだ2年なの、5年くらいって言われてるから、もうしばらく続きそうだわ。」
「たまには帰ってくるの?」
「最初の頃は、月に1度は帰ってきてたんだけどね。最近は盆と正月くらいね。」
「まあ、亭主元気で留守がいいって言うし、美紀さんも羽根が伸ばせていいんじゃないの。」
「気は楽なんだけど、羽根を伸ばすと言ってもね。だから、自治会の役員として皆んなの役に立ってる事が張り合いになってるの。」
「偉いわ、皆んなが嫌がる事を進んで受けて。」
「由紀子さんだって。」
「私は、順番が回ってきたから、仕方なくなのよ。ごめんなさいね。」
「ご主人とはどうなの?」
「うちも仕事人間だから、美紀さんと変わらないわ。あっ、でも、最近ちょっと気になる事が。」
「何々、私でよかったら話して。」
「実はね、私が寝た後、夜中にこっそり家を出て行くのよ。この前、たまたま目が覚めたらベッドに居なくて、1時間程で戻ってくるんだけどね。そんな時間じゃ浮気って事も無いだろうし、だからって何処に行ってたのって聞くのもね。」
「喉でも渇いてコンビニにでも行ってたんじゃないの。」
「でも、飲み物は冷蔵庫に入れてあるし、夜中にどうしても出なきゃいけない事ってあるかしらって。寝たふりして様子を見たりしたんだけど、週末とかが多いのよね。」
「私が、後をつけて確かめてみようか。あ、でも、流石に私でも、いつ行くか分からないのにずっと起きてる訳にもいかないか。」
「今度の週末に、私、実家に帰るんだけど、その時はきっと出掛けると思うわ。」
「わかった。私に任せといて。」
美紀は、他人の秘密を探ると言う事にワクワクしてきた。
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