「まあ、私達も、今、映画を観てきたのよ。ねえ、田村さん。」
瞳が、真由美の方を向いたが、真由美は俯いたままで、
「え、ええ。」
返事がぎこちない。
エレベーターのドアが開き、瞳と真由美が先に入った。俊樹は、2人に続いて入り、ドア側に振り返った。
俊樹の後ろに、瞳と真由美が並んでいる。
5階(瞳)、6階(俊樹)、7階(真由美)のボタンが押された。
俊樹の背後で、瞳が、いきなり真由美のブラウスのボタンを一つ外した。
「なっ!なに…。」
真由美が、突然の事で、声を出しかけて慌てて堪えた。
俊樹は、エントランスで2人の後ろでエレベーターを待っていた時、真由美の背中が透けていたのに、ブラをしている感じがしていなかったので、それが気になって振り向きたくて仕方がなかったが、出来ないでいた。
それを感じた瞳が、もう一つボタンを外す。
『い、いや、やめて。』
真由美は、心の中で呟きながら、瞳の方を向いていやいやと顔を振った。
ブラウスから、胸が出そうになっている。乳首の突起ははっきりとわかる。
なのに、真由美は、自分でボタンをとめることも、手で胸を隠す事もしないで、縋る様な表情で瞳に訴えた。
チ~ン!
5階に着いてドアが開いた。
俊樹は、後ろの瞳が出やすいように、いったん外に出た。
「ありがとうございます。」
瞳が、礼を言って外に出ると、
「おやすみなさい。」
俊樹も、挨拶をした。
瞳を見送って、エレベーターに乗ろうと振り返った時、真由美と向き合うかたちになった。
真由美は、ブラウスのボタンを2つ外し、はっきりとノーブラとわかる乳首の突起を隠そうとはせず、視線は俊樹から外して俯いていたが、俊樹の視線を痛い程感じていた。
「あっ、あ、。」
俊樹は、言葉にならない声をあげていた。
『やっぱり、ノーブラだったんだ。』
とは思ったが、ボタンを外してるとは思ってもみなかったので、想像以上の光景に、「開」のボタンを押したまま、しばらく動けなかった。
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