次の日、俊樹が仕事から帰って来ると、由紀子が玄関まで出迎えてくれて、
「お帰りなさい。今日、昼間に美紀さんが来てね、今度の土曜日に自治会の役員会を開くって言うの。土曜日って言ったらお父さんの病院に付き添わないといけないでしょ、だから出席できないわって言ったらね、美紀さんが、代理でご主人の出席でもいいからって言うのよ。じゃあ、今夜、相談してみますって言ったんだけど、あなた、出席出来る?役員って奥様達ばかりでしょ、あなたが嫌なら、お父さんの方の日程変えられるか聞いてみるから。」
俊樹は、昨日の美紀との会話を思い出しながら、
「だ、大丈夫だよ。役員会には、俺が出席するから、由紀子はお父さんに付き添ってあげて。」
少しぎこちない返事になってしまったと思ったが、由紀子は気にもせずに、
「そお、ありがとう、お母さんに付き添い頼もうかと思ったけど、お母さんも調子が良く無さそうだから、あなたにそう言ってもらうと助かるわ。じゃあ明日、美紀さんには主人が代理で出席しますって言っておくわね。隅っこで座ってるだけでいいから。あっ、その後、役員の懇親会をするって言ってたけど、どうせ奥様達ばかりだから、男一人で気まずかったら先に抜けてきてもいいからね。」
「う、うん。」
『座るだけでは済まないんだよ、その懇親会がメインなんだから』
という言葉を飲み込んで、返事をした。
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