首輪を嵌められた俊樹は、美紀の指示に従うしかなかった。
「大丈夫よ。皆んな、映画に集中して後ろを振り向いたりしないわよ。」
美紀が、俊樹の躊躇いを振り払う様に言った。
「わ、わかりました。」
俊樹は、覚悟を決めて服を脱ぎ始めた。
「あ、マスクはしてていいからね。マナーだから。」
『じゃあ、こんなところで、服を脱ぐのもマナー違反じゃないの』
と、俊樹は思ったが、当然、口にする事は出来ない。
シャツを脱ぎ、ズボンとパンツも脱いで全裸になった。
前の方には、映画を観ている客がいる。
暗いとはいえ、振り向かれたら上半身裸の男が目に入ってしまうだろう。
座席に隠れて下半身までは見えないが、まさか下半身まで裸になってるなんて誰が思うだろう。
隣を見ると、美紀は、何事もない様に映画を観ている。
俊樹には、映画を観る余裕なんて全く無く、いつ誰が振り向いたりしないか、客席ばかり気にしている。
『さっき、暗くなってから、入ってきた人がいたが、今からだって、入ってくる人もいるかもしれないしな。まさか、映画が終わってもこのままなんて事、無いよな。』
俊樹の気持ちは、益々不安になる。
ところが、段々と映画が進んでくると、もう途中から入ってくる人はいないだろうという思いと、誰も振り向くはずがないという思いが増してきて、逆に『振り向いて見て』と心の中で呟いていた。
それを見越したのか、ようやく美紀が、
「3列前に2人女性が座ってるでしょ、あそこまで四つん這いで行って、席の後ろの通路を通って戻ってきなさい。」
俊樹の耳元で命令をした。
「音を立てたら振り向かれるかもしれないわよ。気付かれずに戻って来れたらご褒美をあげるわ。」
美紀は、スカートを捲り、穿いているショーツを指差した。
3列前の女性たちまでの間には、客は座っていない。映画に集中してて音さえ立てなけりゃ振り向かれる事もないだろう。
でも、俊樹にはひょっとしたらという思いが興奮の材料に充分だった。
「わ、わかりました。」
俊樹は、席から腰を浮かせて床に両手をついた。
冷たい感触が伝わってくる。
美紀の前で四つん這いになると、
「お尻は突き上げなさいよ。パシッ。」
お尻を叩かれた音にドキッとしたが、映画の音にかき消された様だった。
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