夕方、一駅離れた映画館に行くと、美紀が待っていた。
「すみません、遅くなっちゃって。」
俊樹は、美紀を待たせた事を謝った。
「いいわよ、時間通りじゃない。由紀子さんには、なんて言って来たの。」
昼間、由紀子が美紀のところに挨拶に来たので、ちょっと気になっていた。
「会社の同僚と映画に行くって。」
「え、そんな下手な言い訳したの。おかしく思ってなかった?」
「え、ええ、別に。」
「そう、それなら良かったわ。チケットは買っておいたから、入りましょうか。」
俊樹は、何の映画を観るのか知らされていなかったが、女性の好きそうなラブロマンスだった。
中に入ると、場内はまだ明るく、客もまばらだった。
「封切りしてから、だいぶ経ってるから、あまりお客がいないわね。」
美紀の後について行くと、一番後ろの席だった。
少し見下ろす感じの場内だったので、一番後ろには、美紀と俊樹の二人だけで、5列前の席に、カップルや女性同士の客が座っていた。
場内が暗くなり、予告映画が始まった時に、3列前の席に女性2人組が入ってきて座った。
「暗くなってからも、入ってくる人はいるのね。」
美紀が、さりげなく言う。
「そ、そうですね。まだ、本編は始まってないですからね。」
俊樹は、気にするでもなく、返事をする。
そして、本編が始まった。
すると、美紀が、俊樹の耳元で、
「これをしてあげるわね。」
と言って、俊樹の首に何かを巻きつけた。
「えっ。」
俊樹は、驚いて、首に手を当てた。
「何かわかるわよね。」
「く、首輪、ですか。」
映画館で、いきなり首輪をされた事に、戸惑う俊樹に、美紀は、
「首輪をされたって事は、わかるわよね。服を脱ぐのよ。」
「えっ、こ、ここで。」
「契約書、忘れたの?」
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1.澤村美紀は、真田俊樹に首輪をする事によりペット奴隷として扱う事ができる。
2.真田俊樹は、澤村美紀の首輪を拒む事は出来ない。
3.真田俊樹は、首輪装着時は澤村美紀の指定以外の物は身に着ける事が出来ない。
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俊樹の頭に、契約書の内容が浮かんでくる。
美紀に、映画を観ようって言われた時に、何かあるなとは思っていたが、まさか、こんな事になるとは思っても見なかった。
美紀は、敢えて、客の入りが少なく女性ウケしそうな映画を選んでいた。
客の入りは、入ってみないとわからなかったが、周りを見て、『これなら出来そうだわ』と思って、俊樹に首輪をかけた。
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